縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2010年07月23日

7月二十三日 
梅雨があけたら、日本はどうなってゆくのだろう?

はげしくしつこかった豪雨が終わると、うそのように梅雨があけた。
気がつくと、顔なじみの野良猫の姿がみえない。
近所のみかん畑で、夕方になると、傍を通るひとに、小さな声で鳴いていたやつだ。かわいそうに豪雨に流されたのか。

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鼻の横にあざがあり、野良のくせに、ふさふさ長い毛の持ち主だった。暗くなってから帰り道に、たまにコンビニで買った98円のさば缶をあけてやると、こけつまろびつ金網の向こうから走り出てきたのだが。
諸行無常である。にゃむあみだぶつ。

さて、この数ヶ月、世の中いろいろあったが、とりあえず、一段落の感じである。過ぎてしまえば、それも、なぜか遠い日々のように思われる。

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ワールドサッカー、口蹄疫、参議院選挙、龍馬伝ブーム。国じゅうをマスコミがヒステリックにひっかきまわし、どうでもよいことか、何が譲れぬ大事なことかわからぬまま、評価も二転三転、ようやく落ち着いて静かになった。
集中豪雨のような情報洪水を、川岸で、呆然と、立ち尽くして眺めていた気がする。

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ワールドサッカーでは、本田選手の黄色いスパイクから放たれた無回転ボールは、ぶるぶるブレながら、ネットに突き刺さった。
戦前まったく期待薄(ぼくら、しろうとは知識も関心もなかったから無理もないのだが)というかあきらめていた日本代表が、忽然と団結をとりもどして、ベスト16に進出。選手の顔触れもしらなかったのに、ぼくらは総サムライサポーターに変身。監督の評価も「岡ちゃんやめろ」が、「岡ちゃんごめんね」と、ファンも専門家も、手のひら返しだ。

参議院選挙は、菅さんのカン敗だったと、けんけんごうごうマスコミが叩く。一方、鬼門だった消費税を取り上げたのは、新聞の社説では、大正解だとする。

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日本の総理大臣は、くるくる変わる。マスコミがはやしたてる政局は、ちいさなコップの中の嵐だろうか。
選挙に負けたら、二大政党論もどこかに吹っ飛んでしまった。大義もへったくれもない。
一国の総理大臣があんなにサッカーボールのように蹴っとばされていいものだろうか。菅さんは、いまや、アキ缶と揶揄されている。
「もともと、なにをしよう」という構想を持たない権力志向だったと、むかしの仲間からいわれているが、ほんとかねえ。土壇場でうろたえて、田中真紀子を総理にかつごうとした小沢の方が、ぼくには、胡散臭く見えるのだが。

怖い本を買った。
森嶋通夫「なぜ日本は没落するか」岩波現代文庫。
教授は指摘する。日本が没落するのは、今度のばあいも明治維新の時と同様、政治からであると。
2004年逝去されたが、指摘は怖いほど当たっているように思われる。

そうそう、いつの間にか、タイガースが、0.5差で二位につけている。エースクラス投手が、みなこけた。主力打者の覆いがたい高齢化。下馬評は、ワールドサッカー以上に期待薄だったのに。
ところがどっこいだ。勝因は、毎年スカばかり食らっていた助っ人外人が、打ちまくって救世主となったことだ。ここまでは、あほでもわかる。
ホントの勝因は、カーネルサンダースの呪いがとけたことなのだ。
ケンタッキーフライドチキンの看板じいさんは、前の優勝時に道頓堀から、白い服を着たまま、あのくさいドブ川にほうりこまれた。
めがねもどこかにいったまま、工事中に偶然救出されたのは、昨年だった。二十数年たっていた。いまはきれいに修復されて、仏像なみに、甲子園球場にうやうやしく安置されているようだ。

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大阪は、ありがたいものを堀にほうりこむ歴史がある。
欽明天皇のころにも、ピカピカ金色に輝く仏像を堀江に投げ込んだ。祟りをおそれぬふるまいであった。

投稿者 nansai : 16:57

2010年05月06日

四月三十日 年齢をとると、みなころぶのだ。

ころぶのは、そこつなぼくだけではない。高名な作家で医学博士の渡辺淳一氏も、ころんでいた。

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『いやあ、驚きました。あきれました。そして失望しました。
昨夜、思いもしないことから、路上に転倒。
そのときの詳しい様子は、いまだに自分でもよくわからないのだが」

こんな書き出しで、週刊新潮連載のエッセイ『あとの祭り』「倒れてわかったこと。」に、作家の渡辺淳一氏が、ご自身の転倒経験を述べている。しかも、ごていねいに二週にわたって。

ある夜タクシーをさがしていて、先生は、道路の向こう側にわたろうとして、思い切って柵を越える際に、左足はまたげたが、右足がひっかかったらしい。

さすがはプロの作家、数週間前に、まったく同じような体験をしたぼくは、文筆で立つほどのひとの見事な描写力に感心しきりである。

先生は、柵に右足が引っ掛かって路上に左肩から落ちた。左手首、大腿部に激痛が走ったという。しばらくじっとしていたが、渡辺氏は、もともと整形外科医だから、自己診断して痛むがたいしたことはないと、帰ってシップをはって応急処置をした。医者にはいかなかった。

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渡辺氏は、軽妙なタッチで、事故?の一部始終を描写しつつ、
『それにしても、何故、こんなことになったのか。』とショックをかくせないもよう。
「これくらいの柵は越せると思い、少し脚を上げればいいだけだと軽く見た。ところが肝心の脚はあがっていなかった。いや、あげられなかったのである。」
作家であり医学博士である渡辺氏の結論としては、
『自分が年齢をとっている、と思っている以上に、体は年齢をとっているのである。』

渡辺淳一氏は、ぼくとほぼ同年輩だが、転倒歴では、ぼくのほうが先輩だ。じまんにはならぬが、昨年は三回もこけた。原因は、先生ご自身のお見立て通りだ。ごもっとも。

先生は、週刊新潮の次の週のエッセイ「かなりよくなりました」で、イラストの唐仁原画伯の描写が、さすがはプロだ、真にせまっていると絶賛している。
「私が歩道と車道を境している柵を越えようとして、倒れかけた格好が、まさしくぴったり、まるで隠れて見ていたように、見事に描かれている。」
絵をみているうちに、転んだ時の痛みが甦ってきたのだから驚いたそうだ。

渡辺先生は、元整形外科のお医者さんだったので、耳の痛いご託宣をずばり。
「今回のわたし程度の怪我では、病院にいかないこと。」忙しい医師はうんざりするだけ。シップと痛み止めをだすだけだから、行っても行かなくても同じだそうな。
ころんで側頭部を打ちあわてたぼくは、CTを撮ってもらったのだ。

投稿者 nansai : 14:28

2010年04月15日

四月十五日  こけちゃいました、ではすまされない。

若いころからの注意力散漫、そこつ、あわてもんである。落し物、忘れ物など、数えればきりのない限りないドジ、ちょんぼを、懲りずにくりかえしてきた。
ここ数年は、それに転倒(英語でフォール)がくわわった。老人には、これは危険信号である。

これまでは、考えごとしながらでも少々けつまずいてよろめいても、おっとととと、長年鍛えぬいた?バツグンの運動神経でバランスを復元し事なきを得てきた。が、昨年あたりから、おっとととが怪しくなってきた。とくに段差は要注意である。ふんばれずころびやすくなり、整骨院のおせわになること、しばしば。

今年は大丈夫と思ったら、先週末の夜、不覚にも、近所のコンビニ横のコンクリートのブロックにつまずき、がーんと、もろに路上におでこからつっこんでしまった。

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ほい、しまった、打ち所が悪いと、硬膜下出血が心配である。すぐ近くの病院でCTを撮った。さいわい悪運強く、眼の上が腫れ上がりお岩さん状態になっただけで、ま、事なきを得た。

その年齢で反省がたりない、と叱責されている。
両手に重いかばんやフクロをぶら下げて歩くから、ころびやすい。こけても、とっさの受身ができない。
どうせ読めもしない本や雑誌を持ち帰るな。と、いちいち、ごもっともな罵詈雑言のアラシを浴びて、ロープ際でノーガード状態だ。

65歳以上の老人の三人に一人は、一年に一度は転倒するという統計がある。米国CDCの資料にのっていた。老人の転倒は、骨折につながり、ケガによる死因の筆頭らしい。
転倒予防は、国家的大問題のひとつで、アメリカ政府広報でも大きくとりあげている。日本でも、転倒予防COMを始めたくさんのネット情報がある。当事者の老人自身が眼を通すことはないだろうが。

おかげさまで、だいぶ眼のまわりの腫れがひいてきた。
若い医者いわく、「上のまぶたが腫れぼったくたれさがっているのは、ケガのせいもあるが、まぶたの筋力がおとろえたせいだ」そうで、かんたんな手術すれば直る、とすすめられた。
飛び込みで見てもらった当直の先生が、形成外科医だったのだ。
この年齢で目元涼しくぱっちりしてもねえ、のど元過ぎて、返事は保留しておいた。

投稿者 nansai : 13:15

2010年04月07日

四月六日 タイタニック号は、いまの日本か?

今から98年前の1912年、四月十五日未明のことだった。
乗員乗客2200人以上を乗せた豪華客船タイタニック号が、処女航海の北大西洋で、深夜、巨大氷山と接触して、二時間後に沈没した。氷の漂う海に投げ出され、1513名の犠牲者が出た。最新鋭の安全対策が凝らされた世界最大の客船が竣工間もなくなぜ沈んだのか。直後の調査の結果では、原因がいろいろ取りざたされたが、うやむやとなった。たとえば、
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無線係が、他船からの氷山の危険を警告する通信をうるさがって無視したため、船長に報告が届かなかった。
甲板の見張り番は、手違いで、双眼鏡をもっていなかった。
就航直前に、救命ボートが決められた数の半数16隻に減らしたとも。船主の意向だった。救命ボートの数が足りず、船上に取り残された乗客乗組員は船と運命をともにした。
どのひとつをとっても、危険は未然に回避されたはずだった。

ぼくの目には、108年前の豪華客船タイタニック号は、今の日本の姿に映る。
月のない星空、船室にはこうこうとあかりをつけ、氷山の存在に気づかず暗夜を航海するタイタニック号とダブって見えるのだ。巨大客船の船名は、ハトヤマ丸と読める。

巨大氷山に、10年以内に衝突するという警告は、かまびすしい。ぼくらには、まだみえない氷山とは、国債の破綻だ。
新聞の社説、専門誌、有識者の論説は、こぞって、日本国債の破綻を警告している。日本人だけが危機感を持っていないとする論者もいる。いまにギリシャと同じ状況になるとも。
とすれば、まさに一億人以上の乗客を乗せたタイタニック号状態ではないのか。

船のブリッジは、別の党から乱入した操舵手にハイジャックされ、郵政改革は逆走を始めた。
今の政府が、眼先の票をかせぐために、このままばらまき政策を続け、足りない分を国債発行して穴埋めすて、はたして大丈夫なのだろうか。
消費税は、解決策のひとつである。目前の選挙に、票の減る消費税に触れないまま、選挙に臨みたいというのも、選挙民からは、どうせ理解は得られまいとする国民をなめた話ではある。理論上よくわからないながらも、次々に発せられる専門家の国債の破綻予測に、国民は心配している。

太平洋戦争直前の昭和16年を思い出してほしい。
ぼくの眼には、いまの鳩山内閣と、太平洋戦争に、なすすべなく、ずるずると、ひきこまれていった近衛内閣がだぶって見える。
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当時の日米交渉の焦点は、中国からの日本軍の撤退だった。陸軍がつっぱねた。平和を願いつつも厳しい決断を先延ばしせざるをえなかった近衛首相は、名家出の育ちの良いお公家さんだった。
土壇場で近衛が放り出した政権を受け継いだ東条内閣が、開戦した。
あの戦争で日本は、国中が焼け野が原となり、外地資産のすべてを失い、三百万人以上の命を失った。戦争をやめることも、ままならぬ状況が、昭和二十年まで続いた。
このように、百年の大計を持たぬ為政者の責任は重い。
いっぽうで、国民の責任も重い。
日本国民は、為政者を選ぶ選挙での投票率があまりに低すぎる。無責任だと、北欧の女子留学生がテレビ討論会で力説していた。
いまは、ぼくらにとって、まだ正しい為政者が選べる可能性は、なくはない。

地を這うような田中角栄型の「眼先選挙」主義にだまされてはいけないと思う。地方では、無理だろうが。

小泉と自民党憎し、という政策抜きの私怨で、政権を運用してよいものか。
地方と組織の票田へのみ眼を向ける選挙戦術で、与党は大勝するかもしれないが、世界を見据えた将来への政策には背を向けている。
おそろしいスピードで世界が変化している。
借金大国日本が生き残るためには、市場原理を無視した成長戦略などあるはずがないのに。

投稿者 nansai : 13:50

2010年03月26日

三月二十六日 
電子本が、本を読まなくなった日本人を変える?

「手本は二宮金次郎」という小学唱歌を覚えている人は少ない。かつては日本中の小学校の校庭に、薪を背負い本を読む金次郎少年の小さな銅像が建てられていた。

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感心な金次郎少年が、薪をせおって読書したかどうかはさだかでないが、話題沸騰の携帯電子読書端末を持たせてやりたかった。論語も、親指で押すだけで本のページがめくれる。
竜馬の活動で沸く維新前夜、緒方洪庵の適塾につどった福沢諭吉、大村益次郎たち塾生は、一冊しかないオランダ語の辞書を争って筆写したそうだ。本は貴重で文化の源泉だった。先人は、こうして、外国語を学び読み解き、先進技術を取り入れて日本は、列強の仲間入りできた。その貴重な書籍が60秒でダウンロードできるようになった。

さて、いよいよ、アメリカで出版界に旋風を巻き起こしている電子本時代がはじまるのだろうか。本や新聞、雑誌が、紙から電子版の時代になるか。


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電子本ならば、分厚い本も60秒でダウンロードでき一冊が1000円程度で買える。読書端末には、なんと数百冊おさまる。
ぼくの部屋の読まない本の山積みツンドク現象は消えるだろう。古雑誌の山も、あとかたなく。

クレジットカード払いで最新刊が入手?でき、すぐ、機内にも無人島にも、どんな場所にも携帯できる。
紙ならかさばって重い本も、内容だけなら0グラムだ。
新しい物好きのぼくも、端末一台申し込んだら、三日で届いた。

将来は、改良されて、コンテンツが増えれば、教科書端末として、小学生から大学生まで教育に大きな影響を与えると予測される。電子黒板につなげると、教室でカラフルな図を大きく映し出すこともできる。動画もネットも融合した内容だから、登校しなくても学べる範囲は無限に広がる。

絵本が、しゃべり動くと、こどもには大好評だろう。

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といっても、まだ英語圏の話。読書端末は、AMAZONのキンドルが先鞭をつけたが。四月にはアップルのアイパッドが発売される。すでに予約が数十万台はいっているとか。
アメリカ出版界は、電子本へ積極的に動くらしい。
読書端末というより、スポーツ誌やファッション誌、漫画雑誌の場合は、まず表紙から迫力ある動画。映画と雑誌の合いの子のような試作が姿を見せ始めているという。

この国では、日本語の厚い壁に守られているとはいえ、日本のジャーナリズム、出版業界にとっては、黒船の襲来であろう。
この手の端末が普及するにつれ、世界どこでも書籍が60秒で入手できる。しかも、ほとんどの情報は、英語中心だ。日本人の苦手な英語でやりとりされる。
国民の英語力が、国の経済競争力にかかわってくるのだ。これは、やばいことになってきた。
例によって、おそまきながら、政府も業界の音頭をとって、電子出版対策に乗り出したという。

端末のネットワークができれば、何よりも英語など外国語の習得に役立つ。
この国の英語教育制度を一から見直し再整備するには、絶好のシステムができるのだ。
ダムから人へ、というのなら、公共投資にもっともふさわしい。外国語の辞書や教程は、国営ネット化したらいい。学習端末があれば、国民は年齢を問わず、だれでも自由に無料で、語学が習得できる。

投稿者 nansai : 15:48

2010年03月11日

三月十一日 オオカミは必ず来るのに。

あの日午後一時三十分、息を止めて、テレビを凝視していた。番組は、大津波警報一色だ。チリ大地震の余波で押し寄せる到達時刻がせまってくる。テレビは、くりかえし、沿岸地域に、避難を呼びかける。

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急に水平線が盛り上がり、3メートルの津波が三陸海岸に押し寄せるかもしれない。1960年の6メートルの津波被害の再来が心配された。
だが、何も起こらなかった。

あとからふりかえれば、気象庁が発表した到達予報時刻は、あまりに正確すぎた。だが、専門家の日食の秒読みの確かさを信じるしろうとのぼくは、そのときは、まったく疑問を持たなかった。

家人は、「そんなのくるはずがない。台風情報もいつもオーバーじゃないの。」と、はなから気象庁を信じようとしなかった。

今日の夕刊によれば、消防庁のまとめで、警告された地域でも、実際に避難した人は、全国平均でたった3、8%にとどまったそうな。専門家は、そんな勝手な予断ににがりきっているらしい。

ことほどさように、予知、警告をくりかえし徹底することは、オオカミ少年のようにまたか、とみられて、なかなかむずかしい。インフルエンザでも、地震でも、警告されても、みな自分の都合のいいように判断しがちなものだ。

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津波も地震もこわいが、予知可能な災害は、借金大国日本経済の崩壊である。
政府債務の対GDP比は、日本はジンバブエに次いで世界2位だそうだ。いまのままだ、とまちがいなくギリシャになるという警報が点滅している。
しかも、民主党内閣は、どうやら経済オンチで、官僚を敵に回し、ブレーンもシンクタンクも支えていないようだ。

テレビも新聞も、識者、専門家も、もう時間がない。あげて、増税は不可避としている。納税者番号導入も急がねばならない。

「日本暴落 恐慌の日」、と、朝日新聞三月七日日曜版は、一面で、SF調でだが、20xx年、財政破綻を予告している。このまま、借金頼みなら、10年で破綻とも。
数ヶ月前から、国債の引き受け先を決める入札が不調におわるようになり、海外の投資家画『日本は投資先として危険』とのレポートが出回っていたというシナリオの想定だ。
オオカミは必ず来る。と、日経で伊藤元重教授が警告する。債務不履行、国債の利回り高騰、高いインフレ率への誘導という事態に陥るのだろうかと。
オオカミ少年のようにみなされた学者の財政危機説は、10年以上になる。いま、主婦向けテレビの番組でも、このままだと、もう十年持たない、と専門家が口をそろえる。

しかし、いま、国を救う増税を持ち出すと、選挙に勝てないと信じられている。危機に眼をそむけて、眼先の選挙に勝つことしか念頭にない小沢政権。かれらにはレーダーがない。長期の見通しをもたず、災厄を想定することから逃げている。

投稿者 nansai : 18:19

2010年03月03日

二月二十九日 セルフ ポートレートかも。

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お化けのようにみえるが、薔薇は薔薇である。
冬の終わり、わが小庭のすみで、雨風にうたれ寒さに震えながら、けなげにも咲き残っていた。ほとんど枯れてしまった花の真ん中には、まだピンク色が、あざやかとはいえないが、かろうじてみずみずしさをたもっている。桜の花の散り際のいさぎよさとは、また違うところだ。
老残のピンクの花の色気を、しぶといとみるか、おぞましいとみるか。

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なんだか自画像のような気がして、デジカメのシャッターを押した。
ここまでドライフラワーのようになると、春まではむりとしても、まだまだ長持ちしそうだったが、ある日、帰宅すると、寒肥を入れにきた植木屋さんの手でちょん切られていた。

投稿者 nansai : 15:29

2010年02月25日

二月二十五日
「「政治家」小沢一郎は死んだ。」(立花隆)

風向きがかわり小沢一郎民主党幹事長の去就をめぐってマスコミはさわがしい。すごい見出しを掲げた文芸春秋三月特別号の論文で、立花隆氏は、意表をついて、こう予言する。

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長期未来を考えたら、どうか。
数年以内に、小沢一郎は確実に政治的にゼロの存在になると。
かりに当座をきりぬけたとしても、小沢氏の政治生命が長くは続くはずがない。いま「20歳の若者」から見れば、小沢一郎など過去の遺物にすぎないと。
「田中角栄研究」で、数十年にわたる田中による自民党政治の実態をデータ解析により暴いた立花氏の直感には、凄みが感じられる。

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小沢氏がオヤジと慕い、師と仰ぐのが、田中角栄だ。田中の政治手法を長年にわたり調べつくした立花氏は、こう断言する。
小沢がこれから百万言を弄してどのようなもっともらしいリクツをならべようと、構造的に、田中角栄、金丸信とほとんど変わりない。政治家が影響力を振るうことのできる公共事業の巨大な国家資金の流れに預かる企業から、大っぴらにできない政治献金を、なんらかの別ルートで受け取って懐に入れるという行為は変わらない。

小沢一郎とは、なにものなのか。
日本を動かしている闇将軍と恐れられる小沢氏だが、もちろん会ったこともなく、ぼくは、永田町にも霞ヶ関にもまったく縁遠い『国民』の一人でしかない。
小沢一郎著『小沢主義」という187ページの文庫本を買って読んでみた。ゴーストライターの手によるものだろうが、「志を持て、日本人」と副題がついている。

小泉政治が目の敵だ。市場原理、自由競争で格差を生んだと、しつこく非難している。
同書にいわく、小沢氏自身も深くかかわった戦後政治は、高度成長で得た富を国が再分配し、国中にばらまいた。その結果日本は政治不在、リーダー不在の国家になったと、総括するのだが。

おどろいたことに、公共事業についてふれていない。日本中をコンクリートのダム、空港、道路や線路、ハコ物でうずめつくし、この国に、莫大な負債を残したのは、田中角栄とその一派の「日本列島改造論」だったのに。(おやじとしたう田中は、「反面教師」だという。そういい切っていいのかなあ。)

田中角栄直伝の、数は力、力はカネ。しかも、政治にはカネが必要だ。ゆえに、浄財をもってこれにあてねばならぬとも。
いまも、こう信じて疑わない小沢氏の選挙最優先主義の激烈な副作用を、ぼくは恐れる。
多数決の代償は、ただではすまない。それが健全な民主主義だろうか。
利権をちらつかせ、妥協、懐柔、恫喝は、田中軍団のお家芸だった。勝って一票でも多ければ、すべて丸取り。どんな法案も通せるというのか。ならば、とうてい議論は尽くせない。

数としての小沢チルドレン。政見を説くだけの経験も識見もなく、いわれるままに、ただ辻立ちと握手、ツーショット写真で票をかせぐ。おたまじゃくしのような候補がぞくぞくうまれてくる。

当分は、もう族議員の跋扈した自民党時代には帰れない。
しかし、はたして、小沢一郎のいうとおり、数は力でいいのか。それが自民党政権下で疲弊した日本を救う民主主義だろうか。
かれによれば、民主主義は、どぶ板選挙が原点だという。しかし、都市は避け、地方重視の地を這うような選挙の結果だけが、民意を確かめる民主主義だろうか。広い視野でグローバルに将来を見据える人材の「政府主導」でないと、日本が遅れをとっている21世紀の経済戦争は危うい。

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小沢氏は、選挙の神様らしい。日本の地方の小選挙区での勝ち方を熟知しているのだろう。
おたまじゃくしのような候補者を指導する秘書軍団がなんと20名ちかくいるといわれる。合格率の高い予備校の講師のように。
アメリカの大統領選挙にもプロのエージェントが協力するが、選挙のプロが、国の最高権力をにぎり、国策に口を出すことはない。

投稿者 nansai : 15:56

2010年01月30日

一月三十日 土曜日

ごくろうさんでした。同志中野博司君、
お礼をいわせてください。   合掌

ウエブではまだ少数派の縦組みサイトを立ち上げた先駆者が亡くなった。中野博司君。59歳。
日本で初めて、日本文縦書きウエブのかたちに挑戦したメンバーの一人が亡くなった。
ぼくのこの縦組みサイトも、かれが敷いてくれた軌道のうえを、きょうも徐行運転しているのだ。大水都史編集も、縦組みで、着々と進行している。同志中野君の残した功績は大きい。

怒涛のように押し寄せる英語万能のネット時代に、日本文化を美しい日本語で伝え残す独自の縦組みサイト。普及の道半ばで、ぼくよりもはるかに若い中野君がたおれたのは、かえすがえすも、ざんねんである。

文字数の多い日本語で書かれたウエブは、なぜ読みにくいか。英語のような横組み表記に問題がある。日本語の効率的な飛ばし読みに耐える組み方は、横組みだけでは無理である。
かれは、横組みだけでは伝わりにくい日本語文章を、読みやすくしようと、独自の縦組みフォーマットを作り上げたプロジェクトの主要メンバーだった。
無理な注文ばかりつけるデジタル音痴の南斉は、有能なテクニカルアドバイザーを失った。かれは、尊敬すべき真のデジタルおたくだった。
たとえば、この焼香の線香のけむりのゆらぎ、拡大しようか、動画処理しようか、アイデアはつきない人だった。

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めげずに、やりまっせえ。
はばむ壁は高く厚い。でも、こつこつと縦組みのよさを伝える地道な普及啓発の努力を重ねることを、中野博司君の霊前に誓い、こころから、ご冥福を祈りたい。
合掌                八軒家南斉

投稿者 nansai : 11:30

2010年01月22日

一月二十二日 百五十年前、竜馬がすぐ近所を歩いていた。

時代が求めているのだろうか。竜馬ブームが爆発している。
「日本を今一度せんたくいたし申し候事にいたすべく」と坂本竜馬は決意を述べている。
平成のいま、この国を建て直すのに、けちなマネーロンダリングなどは、もってのほか無用のことだ。

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NHK史上空前の番組宣伝のききめあってか、大河ドラマ竜馬伝が快調な滑り出しと聞く。ぼくも、マウスをあやつって、竜馬像を描いてみた。偉丈夫だが、色黒く、ちじれ毛だったらしい。似ても似つかぬが、八軒屋船着き場オリジナルのTシャツに仕立てようという魂胆だ。

というのも、坂本竜馬と、ここ天満八軒家は縁が深い。
百五十年前の文久年間、うちの事務所のある八軒家浜かいわいは、新撰組、志士たちの面々が肩で風きって闊歩していたのだ。当時の情景を、司馬遼太郎は、「竜馬はゆく」につぎのように描いている。

天満八軒屋は、伏見へ上る淀川船の大阪駅になっている。天満橋と天神橋のあいだの南岸の地で、川ぶちに船宿がぎっしり軒を並べ、京大阪をのぼりくだりする旅客でにぎわっていた。
そこに京屋という船宿がある。
京屋端新撰組の御用宿で、将軍の大阪滞在中は、ここに一小隊が駐屯し、上下する旅客をあらためていた。

黒木綿の紋服を着た長身の武士が、京屋のとなりの堺屋という船宿からでてきた。まぎれもない坂本竜馬である。

映画の一コマのように、竜馬が船宿から姿をあらわすのは、ここのビルから歩いて3分。眼と鼻の先だ。
土佐堀通からお祓い筋にあがる角あたりに、竜馬の定宿「堺屋源兵衛」が、すぐそばに新撰組の定宿「京屋忠兵衛」が軒を連ねていた。
高倉筋と古い地図にみえるが、北大江公園に上がる石段に、常夜灯が建てられていたが、(今は谷町9丁目の生国魂神社に移転)その寄進主に堺屋源兵衛、京屋忠兵衛の名がきざまれている。

「竜馬がゆく」には、土佐からはじめて大阪へ出た日の竜馬が描かれている。
竜馬は、その晩、高麗橋で暗がりからいきなり辻斬りに襲われる。取り押さえてみれば、同郷の岡田以蔵だった。後年恐れられた「人斬り以蔵」である。「事情は、旅籠できこう」と、辻駕籠に押し込んでついた先が、八軒家の船宿「京屋冶郎作」方、とある。
その京屋は、間口11件の大きな船宿だったそうで、京都伏見の寺田屋と業務提携していたと伝えられている。

ついでながら、船宿が軒を連ねていた土佐堀通りから、お祓い筋の上がり口に、「熊野かいどう」の石碑が建っている。
古代、ここらあたりは、すぐ海で難波津と呼ばれ、アジアからの船の出入りする港だった。八軒家船着き場は、平安時代から、淀川を利用する熊野詣のルートで、京都と大阪を船で結ぶ中継点だった。

Tシャツ用に、いちびって、いくつか図柄を考えてみた。イケメンな竜馬の背景は、幕末の錦絵師、国貞の描く名作「八軒家夕景」だ。川向うのはるかかなたには、箕面山系がみえる。
いずれ気が向いたら、大河ドラマ「竜馬伝」の好評なうちに、Tシャツに刷りたいのだが。どうなるか。

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投稿者 nansai : 15:21

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