縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2005年6月15日

六月十五日(水)

「優先座席」とは、なんだろう。わかっていないか、わからないふりをしているのか。
満員電車の優先座席は、きょうも、寝たふりの三匹のメスたぬきによって占拠されている。みな、二十歳以下にみえる。べつに、かわゆくはみえない。
国際的にも珍しい、車中の奇癖「たぬき寝入り」をいったい誰が教えたのだろう。ときおり薄目を開けてあたりをうかがうが、すぐ目を閉じて、気持ちのよい既得権を守ろうとする。

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ときにアナウンスがあって、優先席は、その席を必要とされているお客様のために、リザーブされています、譲ってあげてほしいという趣旨が告げられる。ウマの耳に念仏とはこのことだ。
ケータイの使用は心臓の悪い人のペースメーカーに悪影響をもたらすからおやめくださいなどと、現実性のないメッセージを、無人の車中にアナウンスする無神経さもよくない。そんな人がどこにいるの、と無視されるくせをつけているようなものだ。
つり革につかまって立っている老人の眼の前の柱に譲ってあげてほしいと、表示してあるが、その真下の座席の目をつぶっているたぬきたちには見えない。
「女性、優先ではない、専用車」に、知らずに老人がまぎれこんだら、えらいことになるのだろうが。ぼくには試してみる勇気はない。

投稿者 nansai : 2005年6月15日 11:16