縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2005年10月12日

十月十二日(水)の四

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東京や京都、奈良。神戸にくらべても、わが地元大阪は難波京のむかしより、歴史の長さでは、ひけをとらない。
しかし、大火、戦災、乱開発をかさね、大阪の地上には、歴史をしのばせるよすがは消えてしまった。わずかに街角や橋のたもとに残されている石碑だけが、ものいいたげにたたずんでいる。
大阪は、観光という面からは、魅力のない都市になってしまった。タクシーの運転手が観光客をどこに案内すればよいか苦労するといっている。

ここは、八軒家船着場だ。平安時代から、船で、京都と大阪をつなぐ交通の要衝だった。三十石船で有名だが、いま往時をしのばせるものは、階段あとと一本の石柱のみ。残された錦絵でだけ、江戸時代の殷賑ぶりをうかがうことができる。このような資料は、博物館、大学、古本屋、個人蔵書など、あちこちに眠っている。これを、21世紀によみがえらせたい。

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というわけで、このところ「大水都史をデジタルで編み、後世に伝える会」(理事長石原浩)なる長ったらしいシステムを立ち上げるべく、ああでもない、こうでもないと、有志たちと想を練っているところだ。
「大水都史」とは、だいそれた名称だが、「水の都」大阪の史実をデジタルにアーカイブしたいという狙いである。日本全国いたるところの都市で「水都」の名乗りをあげている。
つまり、この町に刻まれた1500年もの歴史は、世界のほかの都市のごとく建造物や彫刻など証明するものがうしなわれ、史実は石碑などに残された文字でしか伝えられないのだ。
いまやデジタルの時代だ、石碑もいいが、書籍や博物館のようなかたちでなく、無限の収蔵スペースのあるネット上に、資料を収集編集してゆくシステムが、有志や市民の参加でつくりあげられないかという提唱だ。

お役所しごとではなく、あくまでも、ボランティア、とくに、これからは、高齢者ウエブライター、エディターたちの献身的努力に大いに期待したい。たとえば、古本は、うもれた史実の宝庫である。市民や観光客に知らせたい史実を探し、絵にせよ写真にせよ、紹介し文章にし、入力する。こんな手間の要る仕事は、元気なシニアの独壇場になるだろう。後の人に引き継ぐ値打ちがあると思う。
無尽蔵に情報を収集し、ブロードバンド時代にふさわしい後世に伝える編集の基本の枠組みを提案したい。これは、立ち上げたバーチャルなすがたは、目に見えないが、建築や都市に似ている。デジタル専門家の協力を得ながら、あとあとこつこつと、手弁当のボランティアの編集者やライターが、力をあわせて立ち上げてゆける仕組みをさがす。歴史は毎日作られる。これから何十年かかっても終わることのない作業になるのでは。

投稿者 nansai : 2005年10月12日 15:44