縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2005年10月27日

十月二十七日(木)


日本シリーズは終わった。予想が、当たったのが残念。
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トラは、死して皮を残す。いよいよこれから検死がはじまる。
敗れても、なお、しばらくは、タイガースは、ぼくらに、さまざまのおいしい話のネタを提供してくれるのだ。
いわば、まないたのうえのマグロだね。うまそうだ。握って、煮て、焼いて、すみずみまで食べられて、あますところがない。
おたのしみは、むしろこれからなのだ。

「黒船がきた。ひょっとして日本の野球は眠りを覚まして変わるのではないか。」
『ハゲタカファンドが、球団買収でけちをつけたからや』
いろいろあるなかで、傑作は、あるスポーツ新聞のユーモラスなコメントだ。
「苦境に立つプロ野球全体の将来を考えると、ロッテは、やりすぎ。これから復活の盟主となるタイガースをあんなにたたきつぶしてはいかん。甲子園では負けてやって、千葉まで人気をつなぐべきだ。」ぼくも、ここまでは思いがいたらなかった。
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トラキチは、甲論乙バク、二つに割れる。
『岡田監督、それでも続投でっか』(サンスポ)
「なんでや、あの投手起用に納得がいかん」とする、オカダ用兵への疑問視派と、「ようやった、待たされたセリーグの日程が不利やから、責められんわ」というけんめいな擁護派だ。関西系スポーツ紙も評論家も、二分される。タクシーの運転手にいたるまでだ。ケンカになったりするから気をつけよう。

「負けるべくして負けた虎」として、矢野のリードに根拠なしと、野村克也楽天次期監督はいう。「捕手不在のシリーズ」であり、投手起用では、」監督不在のシリーズ」だったと、ばっさり。そのとおりだと、テレビのトークショーでは同調する向きも多い。概して、森,梨田のシリーズを経験した捕手たちの声は、辛口できびしい。
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罵詈雑言のなかにも、知性あふれるトラキチのメッセージも、いくつか新聞紙上で発見した。

「昔思えば これくらい何の」(朝日)
今にして思えば、上場騒動がふきつな予感だった、とぼやきながら、ノンフィクション作家の後藤正治は書いている。
完敗のこころの傷をいかに癒すか。ファン歴およそ半世紀、馬齢を重ねたオールドファンにも取り柄があるとすれば、敗北戦に強いということだ。
「思えば、長く日本シリーズなど無縁の歳月をおくってきた。美酒は20年に一度で十分、今生の喜びはもはやないと覚悟した日もあったではないか。それを思えば今日の事態、なんとあろう。」
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作家の小川洋子は、「やはり最後は感謝でしめくくろう」(デイリースポーツ)と書いている。
『こんなにも弱いタイガースを見るのは久しぶりだった。タイムマシーンで十年前へ逆戻りしたかのようだった。ここで絶対に打たれてはならない、というところで浴びるタイムリー。みじめなエラー。私はいつしか、なつかしさの感情を覚えていた。もしかしたら毎年毎年、最下位で、愚痴をこぼしながら、たまの勝ちを心底よろこんでいた昔のほうが、幸せだったのではないか。』とぼやきながらも、こう、しめくくる。
野球の神様には、私などには及びもつかないお考えがあるのだろう。「ああ、二〇〇五年の日本シリーズ、屈辱的な負けを喫したことには、こんな意味があったのか。きょうのこの日のために、あの四連敗があったのか。」そう思える日が、きっとくると。
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投稿者 nansai : 2005年10月27日 17:49