2005年12月21日
十二月二十一日(水)
クリスマス
毎年クリスマスになると、日本でも、各新聞がきまって取り上げる心あたたまる定番のお話がある。
「イエス、バージニア」。
そうだよ、バージニア。サンタさんは本当にいるんだよ。と続くこの見出しが、ことしも、全米の新聞にのるだろう。なんと百年前のニューヨーク サンの社説である。(いまもなお、ネットで調べたら、50万以上のサイトがあった。)
「サンタクロースはほんとにいるの、」
八歳の女の子に問い詰められた父親が、困って、新聞にはなんでものっているから、きいてみたらとかわした。バージニアは新聞社に手紙を書いた。
「編集長さま
わたしは八才の女の子です。ともだちのなかには、サンタクロースなんかいるものか、という子がいます。父さんは、ザ サン(新聞)にのっていたら、正しいんだといいます。お願いです、ほんとうのことをおしえてください。サンタクロースは、いるのですか?」
バージニア オハンロン 95番街西115
すると、サン紙の対応は、す早く、1897年九月21日の社説で、女の子のかわいい疑問にこたえたのだ。
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「バージニア、君のおともだちは、まちがっています。」
に始まるベテラン記者チャーチが頭をかかえつつ書いた社説は、新聞史上、最も多くリプリントされた。
「その子たちは、疑い深いこのごろ、疑ってかかる気持ちに毒されているのです。見えるものしか信じようとしません。自分のせまいこころで、わからないことは、何もないと考えています。おとなでもこどもでも、みんなの考えることなんかしれたものです。わたしたちのこの大きな宇宙では、人間は、ムシ、アリにすぎません。」という風に続く。
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「そう、バージニア、愛とやさしさと信心があるところ、サンタクロースはいるのです。
知っているでしょう、愛とやさしさと信心は、あふれています。あなたに最高のうつくしさと喜びを与えてくれるのです。
ああ、もしこの世にサンタクロースがいないとしたら、なんて悲しいことでしょう。バージニアがいないのと同じくらい悲しいことです。:::」
この文章は、何ヶ国語にも翻訳され、本、映画、新聞、ポスターにも、切手にも、登場した。
チャーチは、南北戦争の従軍記者。当時は、苦難の時代であり、社会に希望と信頼を伝えることの難しい時代だった。新聞の中でも、めだたない場所にのったチャーチの論説だったが、読んだ読者の心を揺さぶり、たいへんな評判を呼んだという。
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「イエス、バージニア」というやさしい呼びかけのわりには、百年以上前のチャーチの論調は、なかなか小難しく、八才の少女には、到底理解できそうもないのだが。
ネットで探していると、大昔の黄ばんだザ サンの新聞の切り抜きが出てきた。アメリカのネットのアーカイブの底の深さをうかがわせる。
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なにやら、アメリカで、今、進化論だけ教えることに反対しているインテリジェンスデザイン派の主張めいているが、これが伝統的な保守派キリスト教徒の価値観であろう。
ザ サンという新聞はすでにない。だが、百年以上前のこの文章は、英語国の新聞で、いまでも一番リプリントされる社説なのだ。
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投稿者 nansai : 2005年12月21日 15:11
