縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2006年04月06日

四月六日(木)

洋上のブロッガー
数年前に定年退職した古い知り合いが、夫婦で、近く世界一周の船旅に出発するという。
どうしたんだ?すごいじゃないか。
話をきいてみると、「にっぽん丸」クルーズ旅行のペアー招待に、選ばれたというのだ。豪華客船で、夫婦二人の世界旅行が、無料。「駱駝」という雑誌の企画で、義務としては、船内からウエブでクルーズの楽しさをブログでリポートするだけらしい。
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雑誌の特集テーマは、「日々、好きなことだけして、暮らす贅沢――悠々趣味人の至福生活」で、ハッピーリタイア・クルーズへの招待。「にっぽん丸」は、三万一千トンの巨船に一八四室。のべ三三〇名が、インド洋から地中海へ。大西洋、太平洋と、一〇一日で世界を一周する。今、話題の富裕層のデラックス旅行ぶりを、従軍記者みたいにブログライターとして報道?するのだが、そんなことはお安い御用だろう。本人は期待に胸がふくらんでいる。ボン・ボワイヤージュ!
日々、好きなことだけして暮らすか、いいなあ。うらやましさで、みな息を弾ませながら、友人知人が教えあって、またたくまに、ニュースが広がった。

たいくつするひまがない。と、ビンボー人に、クルージングの魅力を説くサイトにのっている。よく考えられた綿密な船内の暇つぶしプランが、早朝から深夜までびっしり組まれているのだそうな。
推理小説を持ち込んでも、一ページもめくらなかった人がいるとか。
浦島太郎が竜宮城で乙姫さまのもてなしにあずかるようなものだから(たとえが爺むさい?)舞い上がって当然だろう。

アメリカでは、独身のOLたちが短いクルーズ旅行を楽しむときいた。ダンスやディナーなど、船長以下乗組員の下へもおかぬもてなしで、自分は女王様の気分が味わえる。日ごろのストレスの解消になるというのだ。

ぼくなら、どうするだろう、とかんがえてみた。
豪華客船クルーズ旅行で三ヶ月かあ、外国映画ではお目にかかるが、昭和のセコい物差ししか持ちあわせがないぼくには、想定外の状況ではある。
泳げないからプールにはいってもしょうがない、いくら広くても船にゴルフ場はないから、テレビの野球中継をついついみてしまうだろうし、家に積んでおいた本をそのまま持ち込んで、読みかけては、うたたねをしてしまうだろう。夫婦で旅するとして、こういうシチュエーションでは、うちのカミさんは、ドレスコードにうるさい。ちょっとデッキに出るのに、なんという見苦しい格好をするかと、毎日責められるに違いない。年老いたら、気をつけて、きちんとせねばと、説教だ。仰せのとおりだが、かならず、いさかいになる。
ぼくは、ふてくされて船室にこもりきり、パソコンに向かってマウスを動かして、「その日その日ラク描き絵巻」にちまちまとした絵を描くことになるにちがいない。なに?そのほうが楽しい?そんな精神がリッチでないやつは、洋上でのゆったりとした時の流れを楽しむ資格がないのだ。

投稿者 nansai : 2006年04月06日 13:38

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