縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2006年10月24日

十月二十四日(火)

これが、「リトルボーイ」と呼ばれた、人殺し核爆弾である。現物を、この目でみたことはない。ウイキペディアの写真を見て描いた。全長3メートル、重さ5トン。昭和二十年、四発のプロペラ式の爆撃機に積まれて広島上空600メートルで爆発した。

nansai061024-1.jpg

瞬時に広島は溶解壊滅し、死者12万人、負傷者8万人。6万軒の家屋が全焼全壊した。

食うや食わずで開発された北朝鮮の核の威力は、どのようなものか知らない。破壊力は、半世紀以上も前のリトルボーイとはくらべものにならないだろう。
北朝鮮は、核実験後自らを「堂々たる核保有国」と名乗っている。

しかし、平和な21世紀のいま、核は、脅しにしか使えない。日本に照準を合わせているらしいが、脅して何を得ようとするのか。これからどのようにして、国がメシを食っていこうとするのだろうか。
国というからには、いつまでもギャングや暴力団のようにはふるまえない。
「近寄るな、ヒロシマのようにしてやるぞ」
と、わめきながら人質のコメカミに銃口をつきつけるのも、つきつけられるのも、おたがいにくたびれるし、しんどいから長続きしない。
いったい、どうしてほしいのだ?
資源もないらしいし、武器で脅してでは、世界に伍して、競争しながら、国民が食べて行くことはできない。

ぼくは、戦前の日本の焦りを思い出す。
資源のない日本は、軍部が主導権を握り、破滅に至る国策を、窮鼠が強引に画策した。満州国の建国では、安倍首相の祖父も、関東軍と協力した。
日本は、自国の貧しい農民を食わせるために大陸に押し出し、激しい抵抗に遭い、世界の非難を浴びて国際連盟を脱退した。石油、鉄の禁輸をくらって、南方の油田に進出しようとし、開戦。挫折のあげく、300万人の犠牲者を出し海外資産をすべて失った。
当時の国策は、大陸に進出して、ソ連の脅威から国を守り貧困にあえぐ国民を、繁栄に導くはずだった。が、あわれ、戦争の大義は「国体の護持」のみにしぼられ、どたんばでは、国民ではなく国体を救うために、戦い、降伏した。「身捨つるほどの祖国はありや」。そのために300万人の命が失われたのだ。
この期に及んで、一億玉砕が叫ばれた。政府は、「一億総武装」を閣議決定し、原子爆弾など知る由もない国民に「竹槍訓練」を命じた。

nansai061024-2.jpg

槍と呼ぼうと、竹は竹である。削ってもあぶっても、近代戦で敵が殺せる武器に使えるはずないのにである。

国体護持に、当時の政府は狂ったのだとしか思えない。陸軍は、最後まで、天皇を擁して、地下大本営に籠るとして、徹底抗戦を唱えた。

nansai061024-3.jpg

2.26当時の青年将校たちも、みなが国を憂えていたのだろう。しかし、満州を勝手に一方的に「日本の生命線」とするなど、「皇国軍人」のエリートたちは、誤った優越感のあまり、視野が狭窄し、偏狭のそしりをまぬがれなかった。世界のなかで、おのれの限られた力を知り、生き残るための長期の戦略が、大和魂でなく常識が必要だった。
戦争ではなにものも解決できないし、精神主義では勝てないことを、当時の軍部主導の政治は、国民を巻き添えにしながら、とうとう最後まで理解できなかったのだ。

nansai061024-4.jpg

北朝鮮の「先軍」政治は、軍国日本がたどった破滅への道をトレースしているようにみえる。重大な悲劇に終わった前者の轍を踏んでほしくない。土壇場では、軍が主導する政府は、常軌を逸すどころか、死にもの狂うものだ。

「先軍」という国是は、カネ食い虫そのものではないか。そもそも軍は、国民に兵隊の給料以外にはメシを食わせてやれないのだ。北朝鮮では、ぼうだいな軍備も、兵隊の給料も、どこから手当てするか。

nansai061024-5.jpg

軍需産業は究極の巨大公共事業で、これに独占的に絡めば企業はもうかるのは常識だ。
「軍産協同体」が国を滅ぼす、とアメリカ国民にきびしく警告したのが、軍人出身のアイゼンハウアー大統領だった。八十年代、かれは職を去るに当たり、遺言のように言い残した演説が、youtubeできくことができる。
軍需産業と軍がグルになったとき、今のアメリカがそうだが、歯止めが利かず、こわい。北朝鮮はどうなっているのだろうか。
いまの北朝鮮の産業は、世界の競争の圏外に落伍してしまった。核で脅しても追いつけるものではない。
先進国が非合法で製造できない製品?しか輸出できない。覚せい剤、偽札、偽タバコなどのだ。核爆弾を1トンくらいに細切れにして、小売りする国際的闇ルートはできるのだろうか。やりかねないし、恐ろしいことだ。

nansai061024-6.jpg

これは、コードネーム「太っちょ(ファットマン)」という核爆弾だ。昭和二十年、長崎に落とされ、7万4千人の命を奪い、7万5千人を負傷させた。

核の恐怖で脅しても、国は、メシが食えない。核をふりまわすことはやめてほしい。だが、北朝鮮は、国として、これから、どうやってメシを食ってゆこうとしているのか。

大きなお世話だろうが、ぼくは、教育を受けた人材の輸出だと思う。
インドやフィリピンのように。IT、介護など。先進諸国は、世界は熟練労働力をほしがっている。

ブラックな話かもしれないが、訓練された身体強健な兵隊さんは、輸出できるようになるだろう。
21世紀は、先進国では、徴兵制は徐々に崩壊するだろう。古代ローマのような傭兵制がしかれるかも。
今後とも世界各地の紛争がおさまるはずないから、国連の平和維持軍には、国境を越え人材供給されたプロの兵隊さんが、肩代わりされてあたることになる。現在のイラク戦線では、米軍では間に合わず、民間委託された戦闘要員が2万名もいるといわれる。
世界の紛争対策は、国連認定の請負いの公共事業で、治安維持の兵隊は義務でなくプロとしての技能と給料で動く。民主主義体制下なら、徴兵はおろか、国土防衛以外の海外派兵の大義をみいだすことは、今後、むつかしくなるだろう
そのうち、北朝鮮から輸出された兵士たちは、世界の国情に学び民主主義に触れながら、海外で報酬を得、国元に送金できるのだ。首領様はいい顔をしないだろうが。

投稿者 nansai : 2006年10月24日 11:47