縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2007年7月 5日

七月五日(木)

阪急電車の「全席が優先席」は、あまかったのか


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満員電車に、ときどき、どこからか、でかい顔のカニがでてきて、座っている。大阪だけだろうか。
オオマタビラキガニのオスだ。大股を開いて、座席を占領する習性がある。
片方のはさみが進化して、ケータイに変化している。いつもケータイに目を走らせるか、目をつむって寝たふりか、妊婦老人に席を譲ることはない。
その大股を、ひざ膝頭ひとつずつすぼめると、もう一人座れるのだが。このカニは、縄張り意識が異常に強く、そこを下手につつくと、逆切れする習性に注意だ。

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阪急電鉄には、電車の「優先席」がなかったとは知らなかった。あえて「全席が優先席」という性善説をとって、「どこの席でも譲り合いの心」を乗客に期待したという。
新聞によれば、こんど、その施策を見直すことになったらしい。
思ったとおりの効果があがらなかったとか?それはあたりまえでしょう。なんでも、株主総会で、高齢の株主から要望が出たらしい。

でも、阪急電車の「全車輌優先座席」は、結構ではないか。9条のように、他の善意を期待するユートピアもすてたものではない。
優先座席を設けたからといって、にわかに席をゆずり合う美風がうまれるか。効果がないのは、おなじだろう。
しかし、「美しい日本」はうさんくさいが、「やさしい大阪」なら大賛成だ。沿線の乗客の善意を信頼する阪急の性善説は、それはそれでいいと思う。総会で株主につきあげられたからといって、あたふたするのも、いかがなものかと思ったりする。

そもそも「優先席」とは、何を優先するかが、だれにもはっきりしないのではないか。
ぼくは、混んだ車内で席を譲られたことは一度もない。
我勝ちの先着順が、ここ大阪のしきたりだ。後から乗ってきて、座る権利があると思うほうが、おかしい。席が空いているとしたら、つり革にぶら下がっての友人同士の会話がはずんでいるときだけ。
電車の中では他人とかかわりたくないと思うのか、みなすぐケータイに視線を落とす。

先日も、こんなことがあった。
満員の地下鉄に乗り込もうとしたら、ぼくの横を若い男が、するすると、くぐりぬけ、目の前の空いた席に、すっと座って、ケータイに見入り始めた。そいつはカニではなく、イタチだった。ああ、タッチの差だった。どうせ、しばらくすれば、座れるのだけれど。

投稿者 nansai : 2007年7月 5日 17:25