縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2007年7月18日

七月十八日(水)

桂 雀々十八番より「さくらんぼ」

いま上方落語がブームとかで、たまたまだが、テレビの「雀々十八番」上演にいたる一部始終ドキュメンタリーをみてしまった。ふだんはあまり関心がないのだが、後日深夜に放送された落語二題も録画しておいた。
そのひとつが、「さくらんぼ」。ぼくは、雀々を、はじめてきいた。

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雀々は、しつこく、まくらで予防線を張る。
「さくらんぼ」は、人気がなく弱いネタで、前列g席くらいしか、おもしろさがわかってもらえないと。すんまへんなあ。なので、後ろのほうのお客さんは、寝てもろてもよろしいが、途中で抜け出さんようにと、勝手な注文をつけていた。話のすじはこうだ。

間違って、さくらんぼうの実を飲み込んでしまった男。なんだか胃がむずむずしているなと思っているうちに、のどの奥から、さくらの木がむくむくと育ってきた。

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春になると、この木が頭のてっぺんで満開だ。うわさを聞きつけて近所の連中が花見に押しかけてくるようになった。人が集まって、あんまりやかましいので、怒って引き抜いたら、雨が降ってあとが池になってしまった。こんどは、昼夜かまわず、釣り人が集まるやら、おおさわぎ。眠ることもできない。あまりのことに、男は、世をはかなんでか、腹たち紛れか、南無阿弥陀仏と、池に身を投げてしまった。

と、雀々は、大熱演だが、なんとも、残酷で気の毒な、笑えない?ハナシだ。
えらいこっちゃなあ、どうしよう。頭のてっぺんで、さくらが満開になったら。ぼくなんかは、このシュールなネタの主人公に、つい同情してしまう。

中には、どうしてあたまのてっぺんの池に身を投げられるのか、としつこく問いただす野暮な客もいるらしい。雀々が予防線を張ったのは、演っていられないからだろう。

シュールで面白い発想だが、たしか前にも出会った記憶がある。

偶然にも、同じようなアイデアを思いついて、ラク描きで、あれこれためしたことがある。
頭の上部をカットして、平たい部分に、脳裏に浮かぶよしなしごとを、いろいろと描きこむのがぼくの手口。子供のころの思い出の砂場とか、さくらの木も。

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さくらんぼの由来をネットでサーチしてみた。、えらいもので、ちゃーんと調べた人がいる。
ご教示に預かることにしよう。
これは、安永2年頃の人気のあった笑い話だとか。あらためて、江戸時代の先人のアイデアに脱帽だ。300年前に、最初に発想した人はすごい!
落語では、けちのハナシの枕に用いたそうだ。「あたまやま」として定番だった。落語好きには常識なのだろう。

投稿者 nansai : 2007年7月18日 16:07