縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2008年2月20日

大接戦を制するのは、小口の献金者か

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今年のアメリカ大統領選挙ほど、まだ予備選挙なのに、手に汗にぎってみたことはなかった。記録的な人数が投票所に列を作った。総額五千億円の政治資金が乱れ飛ぶとか。テレビやネットを通じて、時々刻々、大リーグ以上に迫力が伝わってくる。
民主党の指名競争が白熱している。ヒラリーとオバマのがぶり四つの勝負は、延長戦にはいり、たがいに非難の応酬で因縁試合の様相を呈してきた。

日本とは、選挙の仕組みが違うようだ。こちらでは、有権者は一方的に、一票を懇願されるだけで、積極的に献金やカンパに応ずるほど熱狂しない。
商品のカタログにあたる「選挙公報」は、何も書かれていないのと同じだ。情報不足のため、誰を選んでよいか、よくわからないままに投票所におもむくこともしばしばである。

アメリカでは、投票の前に、まず候補への募金合戦がすさまじい。
いくら集めたかをマスコミが報道する。
あの広い国土で、各州の有権者に呼びかけるには、運動員とテレビCMと遊説のための航空運賃が必要だ。経費は、ばくだいだろう。
候補者は必死で募金を呼びかける。法の許す範囲で一人2300ドルとか。戦前の予想では、全米に水も漏らさぬ集金ネットをつくりあげたクリントンが有利で、圧倒的な資金量を誇っていたという。

ふたをあけると、オバマの草の根ネットが猛然と募金をつのった。いまはかんたんにネットで送金できる。ネットの差も大きいのか。
かれは「変化」を掲げた。いっしょに分裂を乗り越え、アメリカの統一を唱えるメッセージがイエスと受け止められた。
オバマの支持者は、若者、インテリ、黒人だ。零細献金者だ。ちりも積もれば莫大な資金が集まる。寄せられた四十七パーセントが、200ドル以下という。
ふだんは献金しない層が、スローガンに共鳴して応募してきた。ここまでもつれて長期戦になれば、いわゆる「ロングテール」層がカギをにぎるのか。
一月にオバマ陣営は3200万ドル集めたのに、対するヒラリー陣営は、1300万ドル。支持者たちはもう法定枠を使い切っていた。弾切れだ。

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全米津々浦々での遊説演説は、スピーチライターをフル動員して、黒人、農民、自動車産業、ヒスパニックと、それぞれ利害の異なる地元へ、二枚舌三枚舌で呼びかけることになる。揚げ足の取り合いもえげつなく、支持者の反応もすごい。
目先の一票ほしさに、地元向けの約束手形をきりまくるのは、日本の選挙と同じらしい。広大なアメリカにくらべれば、本来は、日本のほうが、情報公開よろしきを得れば、民意を正しくまとめやすいのではないか。

民主主義という巨大で複雑な仕組みを効果的に動かすのはたいへんだ。
大統領候補を党内の指名で勝ち取るのにこれほどのカネとエネルギーが必要だ、とは驚く。大統領選挙は、4年に一度の祭りだとか、民主主義教育の場とか言われるが、そんな生易しい争いではないようにみえた。
こんなカネのかかる選挙以外にいい方法はないものか。建国の父たちも驚いているのでは?
選ぶほうも選ばれるほうも、一体になって盛り上げる熱気の選挙。それはいい。そのなかで、前回はブッシュのような大統領が選出されたのだが。

投稿者 nansai : 2008年2月20日 12:51