縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2008年5月28日

「源氏物語」は、発禁の書だった。

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いまや国民文学となった源氏物語も「不敬の書」と非難を浴びた時代があったという。
なんというおぞましい国だったのか、日本は。
とても信じられない。
日経連載の「源氏物語一千年の波紋」は衝撃だった。驚き、かつ、昭和暗黒のあのころを思えば(覚えてはいないが)、さもありなんと思った。

昭和八年、坂東蓑助上演予定「源氏物語」が、突如、警視庁により上演中止命令が出された。理由は、登場人物が皇族であることだった。満州事変の二年後のことだ。あと八年で、あの太平洋戦争に突入する時代のいやな空気だ。
「天皇幻想を中心に国家統制を強めたい連中から、秩序を脅かす危険な物語」(日経)とレッテルをはられた。
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臣下である光源氏が父帝の后と密通したうえ、その不義の子、冷泉帝が即位するという筋書きが、不敬文学というのだ。
昭和十四年には、谷崎潤一郎により「源氏物語」の現代語訳が嵐の中に出版されたが、これまた検閲のはさみに切り刻まれた。国粋主義者山田孝雄の手によるという。ぼくは国文学の大家だと思っていた。

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源氏物語のころのハンサム像は、現代とは違う。
絵巻でみると、メタボ系の小太りでぽっちゃりした男性が、宮廷の女性のおめがねにかなったらしい。どうみても糖尿病予備軍だ。

専門医によれば、わが国の糖尿病第一号は、藤原道長だそうな。もてにもて、位人臣を極めたかれが、光源氏のモデルといわれている。
光源氏が、平成六年、国際糖尿病会議が神戸で開かれたときの記念切手に登場しているのはそんなわけだ。
源氏物語千年紀とは関係ない。
道長の現存する日記で調べると、運動不足と貴族社会の権力闘争に勝ち抜くための宴会づけがたたったのか。
国民病と国民文学。おあとがよろしいようで。

投稿者 nansai : 15:22

2008年5月21日

「食い倒れ人形」の婿いり先は、きまったのかな?

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道頓堀の食堂ビル「くいだおれ」が突如閉店を宣言した。
皮肉にも、食堂の味を惜しむ声はあまりきかれなかったが、店頭で名物の食い倒れ人形「太郎」は、大阪を代表する宣伝価値が認められ、引き取り手が殺到しているらしい。
識者も入れた委員会で、婿入り先を検討しているとか。
なかでも、このところ人気上昇の通天閣が熱心だそうな。

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大きなお世話だろうが、ぼくのアイデアは、こうだ。

人形はどこへ行ってもよいが、太郎のあのコスチュームを着て練り歩くパレードを、生まれ故郷の道頓堀に残しては?というものだ。ディズニーランドは、キャラクターたちのパレードで繁昌している。
食い倒れ伝統のピエロの衣装をそろえて、チンドン屋パレードが道頓堀を練り歩く。
三人編成か、大行列か。毎日か、毎週か、年に何回か。趣向はさまざまだ。悪乗りすれば、アイデアはぞろぞろ無限だろう。もちろん、チンドン屋は本職のぶかぶかどんどん楽隊演奏も捨てがたい。
戦前にたしか「道頓堀行進曲」というのもあったなあ。

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頼まれもしないのに、ぼくのおすすめは、こんなんどうかなあ、だ。
太郎と同じ衣装を用意しておいて、素人参加のチンドン屋大行列がおもしろい。京都の葵祭りにくらべれば、いささか品格にかけるが、まあいいんじゃないの。
何十名何百名の「食い倒れ太郎」のクローンたちが、えんえん、ぞろぞろ行進するのは、テレビの絶好の被写体になりそうだ。
シロウト参加には、条件をつける。おそろいの貸衣装代として、パレード参加料を申し受けるのだ。
アジアはおろか世界の観光客をひきつける道頓堀の目玉イベントになるかも。
なんせカネがかからないのが一番やおまへんか。

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「昭和30年の大阪」(三冬社刊)という写真集が出た。表紙には、街頭を練り歩く「食い倒れ」チンドン屋の白黒写真がのっていた。へえ、こんぐらがってきた。ミナミに弱いぼくには記憶がない。電気仕掛けの人形とチンドン屋と、どっちがさきだったのだろう。

太郎は、ついに郵便切手になるらしい。
虎は死して皮を残す。「くいだおれ」食堂は六十年の歴史を閉じて、名物人形「太郎」を残したのだ。

投稿者 nansai : 17:08

2008年5月20日

風薫る五月は、同窓会の季節だろうか。

ことしも旧制中学の在阪同窓会に出た。律儀な幹事の誠意にほだされたのだ。
古希をとっくに過ぎた旧友たちは、昭和一ケタ生まれ、押しも押されぬ「後期高齢者」だ。
昭和戦争末期の入学だから、長年見慣れた顔ぶれも、年々数も減って五人。いずれも甲羅の苔むした亀の面構えだ。

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この年齢の同窓会は、野戦病院のようになる。
外見は元気だが、ほとんどが何かの疾患をかかえ、手術などを経験している。これまで何回も繰り返された思い出話がとぎれると、聞きたくもないが、どうしても話題が病気のほうにゆく。脳、胆のう、部位はいろいろだが、まるで手術の手柄話だ。

ぼくらは、戦時下の旧制中学に入学、校訓は「純忠、至誠、剛健」だった。何しろ中原中也が素行不良で一年で放校された学校だ。
校庭で毎朝、天皇陛下のいます宮城へ向かい、うやうやしく東方遥拝のあとに、校訓を唱和した日々。
戦況苛烈となり、ほとんど学習しないまま勤労奉仕、学徒動員、敗戦による引揚げ、軍学校からの復学、転校生受け入れ、占領下の633学制改革、でも共学とは無縁のまま、青春とは程遠い学園生活を、時代に翻弄された。あの頃は、食料難にくわえて、友人たちの間に、結核が猛威をふるっていた。

しかし、ごく平凡なふつうの少年としては、天皇の名のもとに「東洋平和のために」戦争に駆り出される心配がなくなったのは、最大のしあわせだった。
地方都市では、時代も、本格受験戦争勃発前で、参考書も塾も予備校もなく、貸本と映画いがいに娯楽もなく、空腹と胸に将来へのばくぜんとした不安をかかえつつ、ふらふらと毎日を過ごせた。いくつか年上の先輩たちのように、赤紙一枚で狂った戦争に引っ張り出されたのにくらべれば、あれはあれで、最高によかったのかなあ。もちろん亀さん同士では、こんな話は一度もでない。戦争への意見も、わかれるからだ。

空襲はまぬがれたのに、戦後の土建国家政策で、市内に道路が縦横無尽に敷かれ、百年の伝統を誇った母校も郊外に移転してしまい、跡地には思い出のよすがになるものは何も残っていない。

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最近とみにしょぼくれてきたように見受けられる昭和ひとけた組にくらべ、「前期」高齢者の年下の友人たちは、いたって元気がいい。
高齢者といっても、前期と後期のあいだに、見えない壁が存在するのだろうか。
勤めから開放され、大学で学びなおしたり、海外旅行、趣味の合唱、ゴルフと、第二の青春を謳歌しているように見える。
聞いた話だが、その元気なかれらでも、そろそろ同窓会はやめようや、という声が出始めているという。
せっかく集まっても、うっとおしい会合になるからだろうか、そうか、同窓会にも「定年」か。

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五月。もうひとつ在阪同窓会がある。
先夜、幹事からぜひ出るようにと催促の電話がかかってきた。出たところで、知らない年下の連中ばかり、幸薄く母校意識の希薄なぼくらの年度の卒業生はちらほら数えるほどになるだろう。
ふしぎなことに、同窓会で元気のよかったやつから死ぬ、ということもある。勲章貰って、奥さん同伴で宮中に参内して感激していた同級生も、なくなって数年たつ。

ちなみに、長寿のシンボルのカメたちだが、この絵はグーグルイメージの写真から、スケッチした。

みよ、矍鑠たるガラパゴスゾウガメの勇姿。

カメは、代謝のサイクルが遅く、動物の中では長寿の代表格だとか。長寿記録は、オーストラリアの動物園で飼われていたガラパゴスゾウガメのハリエットの175歳。心不全で昇天した。

投稿者 nansai : 14:37

2008年5月19日

ビリケンさんのトラキチ版を描いてみた。

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頭のてっぺんがとんがっていて、目の釣りあがった異相のキャラクター「ビリケン」。かれは、意外にもアメリカ生まれなのだ。
「ビリケンさん」は幸運の神さまだ。七福神にひとつ足して八福神とよばれることもある。
ビリケンさんの足の裏をこちょこちょとくすぐると幸運が訪れるといわれる。手が短いので足の裏がかゆくてもかけない。といわれるが、このくだりは大阪の発明かなあ。

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最近、新世界が観光の人気らしい。ランドマークの通天閣に鎮座して、いつのまにか日本に帰化?したビリケンさんは、幸福の神さんとして、大阪のシンボルのような存在になった。

新聞で知ったのだが、池田市が市制70周年を記念して、「ビリケンさん」の像を制作し市内の公園に設置することになったらしい。

もとはといえば、二十世紀初頭に米国カンザスシティの女教師が考え出し、どういう星のめぐりあわせか、当時、幸運を呼ぶ人気絶大のマスコットになったらしい。百年前の話である。日本でいまはやりの「ゆるキャラ」ブームの元祖か。
その後、セントルイス大のフットボールコーチによく似ていたとかで有名になり、現在はいろいろな同大学の運動部のユニホームに採用されている。ネット上にもキャラクターグッズの売店もある。一切の商標権は、同大学にあるという。同大学のウエブサイトをみてほしい。

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唐突ではあるが、ぼくも、阪神優勝を祈念し、いちびってトラキチ版のビリケンさんを描いてやろうと思い立った。未公認タイガースグッズとして、ぼく流にアレンジした。
杉山投手が登板する夜とか、負けが込んできたときには、祈りながらビリケンさんの足の裏をこちょこちょとかいてあげよう。霊験あらたか、まちがいなし。

著作権がいろいろうるさいこのごろだが、アイデアとは、いまあるものの組み合わせなのであるからして、
盗作にはなるまい。セントルイス大学には、ビリケン剣士のちょんまげ版を、仁義をきって描いておいた。

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ビリケンさんは、いちはやく日本にやってきたようだ。
日本では、明治45年にオープンした新世界の遊園地ルナパークに「ビリケン堂」がつくられ、ビリケン像が安置された。その後火災で行方不明になっていたが、1979年に再建された通天閣に復活したそうな。

それはそうとして、はて、トラキチ版のニックネームをどうしよう?
なんぼなんでも、「ビリトラ」は、まずいか。

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ついでのおまけに、ビリケンさんにオールを持たせてボートを漕いでもらうことに。
いよいよ京阪電車新線の開通が秋にせまり、天満橋の八軒家船着場が脚光をあびているが、そこにボートを漕ぐビリケンさんを呼んできたらどうじゃろ、という八軒家南斎のくだらないアイデアなのだ。

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投稿者 nansai : 15:20

2008年5月15日

葉ぎれのいい完全無農薬サラダはいかが?

抗酸化物質を増やす「ヤノハラ新野菜」がようやく実験農場から出荷のはこびとなった。20年間研究を続けてきた考案者の矢野原医学博士の新農法農場が動き始めた。おめでとうございます。

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隣のイタメシレストラン「マリアン」で、さっそくメニューにサラダとしてどかーんとデビューした。
大阪では、当店がはじめてである。葉があつくて、さくさくとして歯ごたえがあり、野菜の甘みが口に広がる。
みずみずしい大振りな野菜に目をとめて、店頭でも買ってゆく人が多い。

ふつうの水耕栽培とはちがうのだ。
野菜に太陽光いっぱい浴びせる独創の農法。当然アブラムシなど害虫が襲ってくる。そこで、新装置により野菜を電動であげおろしさせ、葉っぱをまるごと水没させて害虫を窒息死させる。だから、完全無農薬。
人間の腸のぜん動運動のように、培養液が微妙に振動させられて、根を刺激する。有機肥料が主体だから、
栄養価が高い。ほうれん草なら1メートルまで育つという。
ヒトの組織を傷つける活性酸素を打ち消す酵素の働きが、太陽の下で栽培するこの方法では高まってきたといわれ期待されている。
ぼくの常識では、医学博士の雄大な発想はよくのみこめてはいないが、「ヤノハラ新野菜」の市場導入を祝ってポスターをデザインした。
とれとれ絶対安全は、保障できる。

投稿者 nansai : 12:05

2008年5月 9日

阪神に、神のご加護。これでいいのか?

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うわー、思わず、眼をつぶった。
昨夜の巨人阪神戦ナイター、阪神二点リードの7回の東京ドーム。ラミネスの大飛球が左翼席フェンスぎりぎりを襲った。
走者二人をおいて、はいれば逆転のツーランだ。

でも、どうしたことか、大飛球は外野席には飛び込まず、球は転々戻ってレフトの芝生に落ちた。

最前列のトラファンが打球に手を伸ばしたらしい。
ようやるわ。テレビではよく見えなかったが、球をつかもうとしたのか、球がその手をすり抜けて、はねたのか。
審判の判定は、打球はフェンスを越えていなかったが「お客の妨害があったため、二塁打とします。」
本塁打が認められず、二塁走者が生還しただけ。
助かった。でも、後味はよくない。
巨人ファン怒るまいことか。

その前に、大きなドラマがあった。
3回、金本の頭部を、木佐貫投手の速球がまともに、襲ったのだ。
かわしようもなく、ヘルメットを直撃し、バッターボックスにくずれおちた金本をみて、みな真っ青に。
しばらく動かず横になっていたが、鉄人金本はそのまま歩いて一塁に。

おどろいたのは、次の打席でのお返しの本塁打だ。
巨人投手がびびるところを逃さず、フォークをライト席にライナーでホームラン。
解説の掛布がすごいとしかいいようがないと、鉄アタマ男に脱帽なのだ。

大リーグでは、もし客が手を出していれば、いわゆる「神の手」といって、退場になり、本塁打が認められるらしい。

これにヒントを得て、不謹慎だが、タイガースグっズを開発した。
外野ファン専用の大うちわだ。
攻撃時には、ここへ打って来い。と絶叫。
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ラミレスが打席に立てば、くるりと裏返して、くるな、返れ。進入禁止か、せこい発想だなあ。
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さて、トラの足の裏は、どうなっているか。
ほんとうは、神ならぬ「トラの手」と称してホームラン跳ね返しグラブを考えた。デザインはトラの足の裏がいい。だが、どうみても、スポーツマンシップにもとり、違法であるからして、ボツにして無難なものにした。

勝った、勝った、また勝った。
巨人戦に連勝しても、タイガースファンはどこか不安なのである。何かがどこかで間違っていると思ってしまう。
油断は、大敵。中日もぴったり追尾してくる、まもなく巨人も息を吹き返すだろう。
根が心配性で、「世の中いいことがそんなに長く続くはずがない」と、ご先祖様にいわれるまでもなく、関西で阪神を何十年とひいきし続けていれば、緒戦で破竹の勢いが、あっというまに、くしゅんとなるのは、太平洋戦争の例を引くまでもないことは百も承知なのである。

押さえの久保田が打たれている。
いまのところ絶好調の40歳トリオは、おそらく今年がピークだろう。まもなく訪れる厳しい夏場を老骨が乗り切れるだろうか。かれらは、野球の世界では、後期高齢者だ。
トラキチ取り越し苦労のタネはつきない。

投稿者 nansai : 15:40

2008年5月 2日

座布団一枚の寄席。満員御礼。


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川向こうの落語専門の天満天神繁昌亭が、朝ドラの影響もあって、ご婦人方に人気で大繁盛らしい。

いってみれば、ぼくのこのサイトも、座布団一枚しかない寄席の小屋のようなものだろう。
定員一人で満員なのだ。座付き作者のぼく以外に、客はいない。
つまり演者、イコールお客。
新作落語?を、ぼくが演じ、ぼくが客だ。
落語の「寝床」を地でゆく。ただ義太夫は下手でも、長松どんに迷惑をかけないココロ意気なのだ。

絵になりそうな演題をふと思いついたら、そそくさと即、開演である。その即興性、浅薄軽率さが、マウス絵の最大特徴だ。
そのひとりよがり、してやったり、の絵が、つかみ、マクラである。
マクラ絵が、すじにすこんとはまると、演者はうれしい。が、たいていは、しくじる。

「屁をひっておかしくもなしひとりもの」ではあるが、
自作自演の場合は、唯一の見巧者の客であるぼくに受けねばならぬおきてなのだ。きびしい。

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毎度、ばかばかしいが、一回こっきりで消えるハナシだから、しばらくたつと、なんでこんなトピックにこだわったのかわからなくなること、しばしばである。

でもおもしろいのは、そんなくだらぬハナシがデジタルのおかげで、サーバーに散逸もせずアーカイブされ(しばらくは、だが)こうして記録再現できることだ。
この絵巻サイトを、だらだらと横スクロールしてゆくと、長さでは、とっくに天満橋は越えたはずだ。
裸の王様がひきずっている長いローブのようなものか。だれの目にもみえないから。

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そんなわけで、ぼく自画自賛のつかみの絵が話題にのぼることはまずないのだが、題によっては、グーグルのサーチエンジンが、ひろいあげていることもある。

先日もグーグルの「映像」に「トラキチ」といれてみたら、ゴマンとあるごみの山に、かつて描いたぼくの絵が数点まざっていた。思わぬ再会である。
あれはロボットが機械的にひろうそうで、絵の巧拙は関係ない。

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気まぐれなぼくの脳裏に、ふっとスジとまくら絵のアイデアが浮かんだら、こちょこちょと、マウスを動かす。気分と気合だ。




投稿者 nansai : 17:44