縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2008年10月24日

山椒魚は、流されて仰天した。大阪人の土石流パワー。


山椒魚は、突然、体が浮きあがったので驚いた。人の波に押されて、そのまま、駅のホームに投げ出された。

nansai081024-1.jpg

遅い夕方の地下鉄ラッシュアワー、山椒魚は、いつもの満員電車の入り口に立つ。次の駅で、乗客がどっと降りるから、必ず座れるはず。
「一歩中へ、おすすみください」と車内アナウンスされるが、ぎゅうぎゅう詰めで身動きできない。つかまるつり皮もバーもない。

次の駅梅田に着いた。
いっせいに出口に進もうとする乗客の流れに逆らって、山椒魚は一歩肩をなかにいれようとした。
それが無用な抵抗で、あっという間に人の波に押し流され、からだがうきあがってしまった。あれは、人ではなく水流だな。土石流のような勢いだ。
突き飛ばされ、ホームでうつぶせに倒れた。幸運にも頭は打たなかったが、左の腰をしたたかに打った。
おそろしい一瞬の人の波は、足早にすぐに消えた。

かっこわるかったが、山椒魚は、なにごともなかったように起き上がって、突き飛ばされた入り口からのこのこ入りなおして、腰をさすりつつ、あいた席に座った。車内のだれも気づいている風はなかった。

年老いた山椒魚は、ちくちくいたむ腰をさすりながら、反省した。
ここは、大阪である。無理は、自業自得である。
人の情けとか、惻隠の情とかに甘えてはならん。すべて自己責任なのだ。あいてて、後悔は先にたたずだ。

なにしろ、ひき逃げもひったくりも放置自転車も、すべて、日本一の「わが町」である。
曽根崎署の横でクルマに跳ねられ三キロも引きずられて亡くなった人もいる。オデッセイ?に乗っていたた犯人は、いまだに捕まっていない。

投稿者 nansai : 2008年10月24日 12:20