縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2009年3月31日

三月三十日 郵便ポストは、絶滅危惧種か?
手紙は、郵便ポストがなければ生きていけないのに。
郵便ポストは、だれも手紙を入れてくれないから、おなかがすいて、死んでしまいそうだ。
このままだと、―どうなる?


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手紙を出し忘れて、通勤途上の地下鉄淀屋橋近辺で投函しようと思った。
ところが、郵便ポストが、どこにも見当たらない。駅員にきくと、ここにはポストはないという。(一日何十万人の乗客が乗り降りするターミナル駅なのに)
駅員は、地図を見ながら、ポストは地上に上がって淀屋橋を越え市役所の近くにあると教えてくれた。
でっかい市役所の庁舎の前にもポストは見当たらない。ガードマンのおっさんに聞くと、やれやれ、はるか、あっちのクスノキの向こうにあるという。淀屋橋駅から、郵便ポストまで、500メートル以上はあろうか。

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ぼくは、ポストの数がすくないのは、郵政民営化のせいだとか、いきりたって非難するつもりはない。
ビジネス街の集配体制は、遅滞なく日々整然とおこなわれているのだろう。
ぼくの心配するのは、むかしながらの手紙もはがきも、このままだと、消えてゆくのかなあ、という哀惜の思いである。ぼくにしてみれば、困ったことだ。

郵便ポストが近くになければ、手紙もはがきもやりとりは、むつかしい。大阪のような人口三百万人の大都市の中心に、郵便ポストがないのは困ったものだ、とぼやくのは、ぼくのような風変わりな一部のひとたちだけかもしれない。

しかし、メールですむことを、なぜ、めんどうな手紙やはがきにしたためるのか、とケータイから片時も目を離さない若い人たちは問うだろう。
無駄ではないかと問われても、日本にむかしからあった伝統的文化とか習慣の問題なので、こたえようがない。ほっておいても後世がきめてくれる。

郵便局もごくろうなことである。大の男(この頃女性も増えた)が手紙を配達して、80円、ぺらぺらのはがきにいたっては、わずか50円。
ときに、ぼくのような粗忽者が、料金不足の手紙を出すと、先方へは配達されずに、また費用をかけて当家の郵便受けに逆戻りしてくる。申し訳ないと反省する。
時流と経済原則に合わねば、手紙もはがきも、滅びてゆくだろう。
ユニバーサルサービスといったって、しょせん他人様の負担でしか、継続できないのだ。
吹けば飛ぶような軽量の郵便物の物流を、コストの高い人力にゆだねるのだ。実費に見合う集配量を徴収しないかぎり、サービスの継続生存は難しい。商売にならないのは、自明の理である。

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とすると、手紙を書いて封筒にいれ、宛名を書き切手を張って、ポストに投函する、という古来のしきたりは、早晩、消滅するはめに陥るのだろうか。

人が集め配達する手紙もはがき新聞も、消えてゆく。
それで何の不自由も感じない若い層が増えている。
なんでも、ケータイで事足りるかれらは、新聞も読まない。それでいいのだ。しかし、それでいいのだろうか?と、異議をとなえたいぼくらもトーンダウンしてしまう。
そのうちに時代おくれの郵便ポストは、好事家の保存の対象となり、「郵政博物館」!でしかお目にかかれなくなる。

投稿者 nansai : 17:35

2009年3月26日

三月二十六日 終わった。勝ててよかった。

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勝ててよかった。WBC優勝チームが凱旋してきた。待ち受けたマスコミのフラッシュ。面白うて、やがて悲しき――だ。

WBCも日韓戦となると、がぜん、日本中が燃えあがって、だれも愛国者になるのが不思議だ。イチローではないが、負けるとプライドが許さん、という気になるのも、おとなげないのだが。
国の威信をかけて、実力伯仲のチームが、がちんこ勝負とあっては、こたえられない。後世に語り継がれる名勝負となる。勝負も、因縁の遺恨試合という物語り
なら、燃え上がるだろう。
この不況下に、経済効果500億円超え。面白い。

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韓国では、なおのことらしい。イチローは、憎悪のブーイングの標的だ。国対国の試合では、野球は、アジアでは、擬似戦争なのだ。サッカーよりも。
勝った時の韓国チームが、マウンドに国旗を立てるのは、硫黄島か、竹島にみたてているのだろう。決勝戦のドジャース球場は、5万人入場者の70%が韓国系だったらしい。アジア独特の鳴り物入りの応援のすさまじさは、ドジャースファンが仰天したという。
韓国選手の名前も、いまは、カタカナ表示だから、だれがだれだか、ほとんどわからずじまいだ。失礼な話だと思う。サムライ側も、ふだん活躍ぶりがお目にかかれない実力選手が、ここぞというところで打ってくれた。

一方、勧進元のアメリカは、燃えてこない。本気度はいまいちだ。国技のはずなのに、スプリングキャンプの変形みたいなとらえかたをしている。
まなじりをつり上げてかかってゆく挙国一致の日韓チームとは取り組み姿勢に違いがありすぎる。
なぜか。

大リーグのプロ球団がいい顔をしないから、いい選手が手をあげてこないのだ。これからリーグ戦に勝ち抜いてポストシーズン、ワールドシリーズへの長丁場が待っている。
球団にしてみれば、リーグ開幕を目前にひかえた支配下選手は、財産なのだから。愛国心に駆られて怪我でもされたら大損だ。選手側も、保険がかからないとかあるらしい。

WBCは、先見の明の誉れ高いコミッショナー氏の名案とのことだが、各球団が協力しないままではいかんと反省しきり。夏に移そうという案もあるそうな。

日本は、守り抜いてアメリカに勝った。全試合でホームランはたった二本。スモールベースボールをなめてはいけないことはわかったらしい。いま、伝統的野球はアジアにあるとも。
近い将来、中国が力をつけてくれば、アジアだけでも、選手権リーグは燃えるだろうな。

投稿者 nansai : 15:27

2009年3月17日

三月十九日 えー、落語「三十石」のポスターがでけました。四月十日午後5時開演でっせ。

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世は落語ブームであるらしい。
ひょうたんからコマとはこのこと。隣のイタめしレストランに、願ってもない話が舞い込んできた。
ある有名な落語家の知人がたまたま店に立ち寄り、ここで土曜の夜に落語を一席というのもおもろいで、という申し出があったとさ。
渡りに船でオーナーシェフも舞い上がり、とんとん、ハナシがはずみ、演目も、ここ八軒家船着場にちなんで、古典落語の定番「三十石船 恋の通い路」ときては、申し分ない。
はなしの舞台の三十石船は、すぐそこの八軒家船着場と京都伏見を明治の中ごろまで往復していた。

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演者は、上方落語ではかくれもない天満繁昌亭大賞の林屋染二さん。掃き溜めにツルという感じがしないでもないが、四月十日土曜日決行と相成った由。
さして広くもない店内のテーブルや椅子を片付けて高座をしつらえ、50席の「八軒家寄席」と、大きく出てオープンする。

まったく落語通でないぼくだが、近所のよしみで、頼まれてはしかたがない。
ポスターの図案を、マウスをうごかしてこちょこちょと。染二師匠を三十石舟の船頭に見立てた似顔もあまり似ていないが、ご勘弁を。

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おりしも春から水都再生のキャンペーンがくりひろげられるようだが、この北大江公園界隈は、にぎわいに乗れず、ひっそりしている。今回の八軒家寄席が成功して定例イベントになるといいな。
林屋染二師匠の熱演がたのしみだ。盛況を祈ろう。
ポスターのPDF版をこちらに。

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投稿者 nansai : 14:48

三月十六日 泥の川から、カーネルおじさん無事生還。呪いは解けたぞ。

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なーんにもいいことのない関西で、久々の明るいニュースだ。カーネルサンダースの呪いが解け、真弓新監督ひきいる阪神タイガースの日本一、疑いなし!と、新聞が書き立てた。
24年前の阪神タイガース優勝時、ファンに道頓堀川に投げ込まれたカーネルサンダース人形が川底のヘドロの泥の中から、両手首とめがねがないまま、発見され引き上げられたからだ。
タイガースは18年間、日本一になれず「カーネル サンダースの呪い」とも言われた。
まもなく全身がみつかり「これで呪いが解けた。ことしは優勝だ。」と、きびしい世の中に、ほんのほっこりした話題で、まずはめでたい。

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23年前、わけもわからずヘドロの道頓堀川に投げ込まれたサンダースおじさんとしては、救出されて、久しぶりで太陽を浴び、まるで浦島太郎状態だろう。周りの状況は一変している。置かれていたケンタッキーの道頓堀店は、もうない。

大リーグのひそみにならい、ずいぶん前に一部マスコミがつくりあげ、ほんとうは、だれもあまり気にしていなかった呪いだが、人形が大阪市から持ち主に返還され、早くもどこに置くかで議論が起きているらしい。
昨年の「食い倒れ人形」騒ぎといい、関西人には、格好の話題だ。かつての救い主ランディバース選手に生き写しというカーネルサンダース。当然、ケンタッキーフライドチキンの甲子園店に飾ることになるのか。

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ところがどっこい、アメリカKFC本社のえらいさんは、何を思ったか、大リーグのシカゴカブス(福留選手が在籍)に手紙を出していたそうな。
タイガースと同じく優勝から遠ざかっているのがカブスだ。ことしの開幕日に、「日本からサンダース人形を運んできて、シカゴのリグレー球場に押し出してはどうでしょうか。呪いが解けるかもしれません。」と申し出たのだ。大きなお世話と思うのだが。

優勝から遠ざかっているといっても、カブスのは半端ではない。なんと101年だ。1900年のワールドシリーズで敗退していらい、じつに一世紀だ。
カブスの優勝を阻んだのは、「ヤギの呪い」だとファンは信じているそうだ。
本拠地リグレー球場にいつもヤギを連れて観戦していた熱烈ファンがいた。ある年のワールドシリーズに、かれはヤギとともに締めだされた。ヤギが臭いというのが理由だった。激怒したかれは、「「二度とこの球場でワールドシリーズがおこなわれることはないだろう」と、不吉な予言を残して球場をあとにした。それから一世紀。呪いは解けていない。

カーネルおじさん像は、フライドチキンの本場アメリカにはない。日本の発明なのだ。
はたして、これでヤギの呪いが解けるのかねえ。
せっかくの申し出にも、カブス球団は、ン?という感じらしい。そうだろう。

投稿者 nansai : 14:42

2009年3月 9日

三月二日月曜日  2009 DD45とは、おぬし、何者だ?

十階建てのビルくらいの巨大隕石が、三月二日月曜日、地球のすぐそばを通過した。と、過去完了で、BBCは報じた。
人類にとって、これはこわいことだったのだ。地球から72000キロに接近してきた、この隕石の直径は、21から41メートル。アポロ型小惑星に分類されるのだろうか。侵入者の正式名は、2009 DD45.

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まず、土曜日オーストラリアで発見されたが、MPCの専門家チームが確認したのは三日前だったそうだ。宇宙空間のニアミスと報じたブログもある。知らぬが仏だった。

この惑星がもし地球に衝突していたら、どうなっただろう。破壊力は、広島原爆1000個に相当すると専門家は警告する。後の祭りだが。
小惑星としては、1908年、シベリアのツングースカ川流域上で爆発して、2000平方キロにわたり、8000万本の樹木をなぎ倒した隕石と同じサイズという。BBCは、ほかにもでかい惑星があるとして、ジャガイモみたいな惑星イトカワの写真をのせている。(最近の研究では、シベリアに衝突した、あの隕石の直径は、いわれたより小さく30メートルではないかとも。)

週末、日本のマスコミは、世界恐慌はそっちのけで小沢党首の献金疑惑や、WBC日韓野球の報道で多忙を極めていた。
ことは重大とみた国連の地球接近物体対策チームは、今年の六月にこのような重大問題を公式に検討するが、その前にDD45について話し合うとしている。話しあってどうにかなるものかなあ。

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BBCによれば、ある専門家の意見では、隕石の破壊力は、内部の物質構造と、地球大気に突入する角度しだいだそうな。祈るしかなさそうだ。

つぎは、2029年に、大きめの小惑星99942アポフィスが21000マイル以内に接近するそうだ。
杞憂(ワードでちゃんと変換されて出てくる)におわればいいが。

投稿者 nansai : 14:54

2009年3月 6日

二月二十八日 抱擁を無料でいかが?

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ある晩テレビのドキュメンタリをみていたら、冒頭奇妙なシーンがでてきた。

一人の気の弱そうな青年が、街頭で、看板を胸に抱いて立っている。
手書きの看板には、英語で「FREE HUGS」ハグします。無料で。と書いてある。
道行く人たちは、だれひとり気づかずに、青年の前を通り過ぎてゆく。無表情な青年が、なぜ、その場所にぽつんと立っているのか。看板に書いてある英語の意味がわからないからだ。
看板のHUGとは、抱擁だ。字引には、HUGとは(通例愛情をこめて両腕で抱きしめる)とある。
無料でハグしてあげるよ。
ようやく、気がついて一人の外人の青年が笑いかけてハグしてきた。青年は、こわばった無表情で、笑い返しもせず、ハグし終わると、またもとの姿勢に戻った。他人事ながら、あ、これじゃあ、コミュニケーションは取れないなと思った。
これは、NHKの「一期一会」という番組の奇妙な出だしのシーンだ。アナウンサーの解説では、FREEHUGは、ネットでは、すでに世界的に有名なキャンペーンだという。

青年は十九歳の専門学校生。いじめにあって、ことばによるコミュニケーションに絶望した。週に一度、思い切って道行く人と抱擁を交わすフリーハグをしているという。

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へえ、こんなことが、若い人の間で、はやっているのか?ぼくは、知らなかったので、ネットにあたってみた。
これは、国際親切運動とでも言うキャンペーンで、80カ国で展開されているらしい。マンという人が、シドニーで始めた。テーマソングも有名らしい。「知らない人にハグしてあげよう」というしごく単純な原則だ。

「フリーハグ」すれば、こうなるよ。親切にもネットに120ページものガイドブック電子(PDF)版が用意されていて、こんな風に書いてある。

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なにかでっかいことの片棒をかつぎませんか?
世界を変えるには、あなたの両腕だけを、おおきくひろげるだけでよいのです。

だれかさんに、ちょっとだけかがやく日をつくってあげる。知らない人も、結局は、そんなに悪い人じゃないよとみんなに教えてあげる。
みんなをひとつにし、幸せなときを 分かち合う。
あなたが悲しくてさびしいとき、フリーハグすれば、ほかのひとに話しかけ、笑いあうことができる、だれかが、あなたに笑いかけてくれる、誰かがあなたに腕をまわして大丈夫だよといってくれる。

フリーハグが、いちばんよくわかるのは、ユーチューブの動画だ。世界中の国々によって、よびかけに応ずる人の態度が異なるのがおもしろい。一期一会、さまざまなハグ場面をみると、ほほえましく、思わず笑えてくる。
なかでも、日本人が世界で一番ぎこちないのは仕方がない。なにしろお辞儀の国だからなあ。

このキャンペーンを支持したい人は、寄付してほしいとのことだ。

特製FREEHUGSのTシャツを買ってもらえれば、収益でこのサイトの運用費がまかなえる。電子ガイドブックもパソコン上で読むのは住所氏名を名乗れば無料だが、プリントアウトしたければ寄付してほしいと事務局。
ぜんぜん知らない人に呼びかけて、抱擁し合う。ぼくにはむりだが、こんなことで世界が仲良くなれるのなら、がんばってほしい。

投稿者 nansai : 15:36