縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2009年11月19日

十一月十九日 
不景気だ。が、とりあえず平和な日々である。

よほどしんどそうな老人にみえたのだろう。
先週、夕方満員のJR京都線の電車で、かばんをかかえてぼんやり吊革にぶらさがっていたら、ジャージーを着た女子中学生がたち上がって、どうぞ、といってくれた。優先席でもないのに。

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年齢に不足はないが、めったにないことで恐縮した。「ありがとう」と小さくつぶやいて腰を下ろす。すぐがさごそ夕刊をひろげたりせずに、瞑目。なんとなくほのぼのとしたいい気分になった。しみじみ思うに、席はゆずられると、うれしいものだ。年をとると、思いやりは、微量でもよく効く。いつも乗っている地下鉄では、まずこんなシーンはない。二駅目で彼女は降りて行った。

ほとんど毎晩のことだ。暗くなって家路をたどる坂道の脇のミカンの木の下で、一匹の捨て猫がすわりこんで鳴いている。
コンビニの横に、ミカン畑があるのだ。子猫に毛の生えたサイズ。金網越しにみると、低いかぼそい声で、鳴き続ける。昼間はあちこち移動はしているらしいが。
おなかすいているのかなあ。

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だいぶ前からで、気になっていた。うちの駄猫は訪れた人に「おおきゅうなったなあ。まるでたぬきみたいや」といわれているのに。

先夜も、かぼそい鳴き声につい後ろ髪をひかれそうな気分になって、コンビニまで舞い戻って、105円の小さなちくわを買ってなげてやった。
すぐ飛びつくかとみていると、食べ物にむしゃぶりつく前に、どうしたことか、ぼくの足元にすり寄ってくる。すぐに食べたいが、ひとのあとについてゆこうとするチエもあるのだ。うろうろしたあげく、ちくわのほうに行った。
む、む、む、小さなうめき声をあげて一生懸命かぶりついて食う。

ペットを捨てる人が多いのに、考えさせられる。

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投稿者 nansai : 2009年11月19日 14:07