縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2010年1月30日

一月三十日 土曜日

ごくろうさんでした。同志中野博司君、
お礼をいわせてください。   合掌

ウエブではまだ少数派の縦組みサイトを立ち上げた先駆者が亡くなった。中野博司君。59歳。
日本で初めて、日本文縦書きウエブのかたちに挑戦したメンバーの一人が亡くなった。
ぼくのこの縦組みサイトも、かれが敷いてくれた軌道のうえを、きょうも徐行運転しているのだ。大水都史編集も、縦組みで、着々と進行している。同志中野君の残した功績は大きい。

怒涛のように押し寄せる英語万能のネット時代に、日本文化を美しい日本語で伝え残す独自の縦組みサイト。普及の道半ばで、ぼくよりもはるかに若い中野君がたおれたのは、かえすがえすも、ざんねんである。

文字数の多い日本語で書かれたウエブは、なぜ読みにくいか。英語のような横組み表記に問題がある。日本語の効率的な飛ばし読みに耐える組み方は、横組みだけでは無理である。
かれは、横組みだけでは伝わりにくい日本語文章を、読みやすくしようと、独自の縦組みフォーマットを作り上げたプロジェクトの主要メンバーだった。
無理な注文ばかりつけるデジタル音痴の南斉は、有能なテクニカルアドバイザーを失った。かれは、尊敬すべき真のデジタルおたくだった。
たとえば、この焼香の線香のけむりのゆらぎ、拡大しようか、動画処理しようか、アイデアはつきない人だった。

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めげずに、やりまっせえ。
はばむ壁は高く厚い。でも、こつこつと縦組みのよさを伝える地道な普及啓発の努力を重ねることを、中野博司君の霊前に誓い、こころから、ご冥福を祈りたい。
合掌                八軒家南斉

投稿者 nansai : 11:30

2010年1月22日

一月二十二日 百五十年前、竜馬がすぐ近所を歩いていた。

時代が求めているのだろうか。竜馬ブームが爆発している。
「日本を今一度せんたくいたし申し候事にいたすべく」と坂本竜馬は決意を述べている。
平成のいま、この国を建て直すのに、けちなマネーロンダリングなどは、もってのほか無用のことだ。

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NHK史上空前の番組宣伝のききめあってか、大河ドラマ竜馬伝が快調な滑り出しと聞く。ぼくも、マウスをあやつって、竜馬像を描いてみた。偉丈夫だが、色黒く、ちじれ毛だったらしい。似ても似つかぬが、八軒屋船着き場オリジナルのTシャツに仕立てようという魂胆だ。

というのも、坂本竜馬と、ここ天満八軒家は縁が深い。
百五十年前の文久年間、うちの事務所のある八軒家浜かいわいは、新撰組、志士たちの面々が肩で風きって闊歩していたのだ。当時の情景を、司馬遼太郎は、「竜馬はゆく」につぎのように描いている。

天満八軒屋は、伏見へ上る淀川船の大阪駅になっている。天満橋と天神橋のあいだの南岸の地で、川ぶちに船宿がぎっしり軒を並べ、京大阪をのぼりくだりする旅客でにぎわっていた。
そこに京屋という船宿がある。
京屋端新撰組の御用宿で、将軍の大阪滞在中は、ここに一小隊が駐屯し、上下する旅客をあらためていた。

黒木綿の紋服を着た長身の武士が、京屋のとなりの堺屋という船宿からでてきた。まぎれもない坂本竜馬である。

映画の一コマのように、竜馬が船宿から姿をあらわすのは、ここのビルから歩いて3分。眼と鼻の先だ。
土佐堀通からお祓い筋にあがる角あたりに、竜馬の定宿「堺屋源兵衛」が、すぐそばに新撰組の定宿「京屋忠兵衛」が軒を連ねていた。
高倉筋と古い地図にみえるが、北大江公園に上がる石段に、常夜灯が建てられていたが、(今は谷町9丁目の生国魂神社に移転)その寄進主に堺屋源兵衛、京屋忠兵衛の名がきざまれている。

「竜馬がゆく」には、土佐からはじめて大阪へ出た日の竜馬が描かれている。
竜馬は、その晩、高麗橋で暗がりからいきなり辻斬りに襲われる。取り押さえてみれば、同郷の岡田以蔵だった。後年恐れられた「人斬り以蔵」である。「事情は、旅籠できこう」と、辻駕籠に押し込んでついた先が、八軒家の船宿「京屋冶郎作」方、とある。
その京屋は、間口11件の大きな船宿だったそうで、京都伏見の寺田屋と業務提携していたと伝えられている。

ついでながら、船宿が軒を連ねていた土佐堀通りから、お祓い筋の上がり口に、「熊野かいどう」の石碑が建っている。
古代、ここらあたりは、すぐ海で難波津と呼ばれ、アジアからの船の出入りする港だった。八軒家船着き場は、平安時代から、淀川を利用する熊野詣のルートで、京都と大阪を船で結ぶ中継点だった。

Tシャツ用に、いちびって、いくつか図柄を考えてみた。イケメンな竜馬の背景は、幕末の錦絵師、国貞の描く名作「八軒家夕景」だ。川向うのはるかかなたには、箕面山系がみえる。
いずれ気が向いたら、大河ドラマ「竜馬伝」の好評なうちに、Tシャツに刷りたいのだが。どうなるか。

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投稿者 nansai : 15:21

2010年1月 8日

一月八日 なんとなく、年が明けまして。

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なんとなく今年はよいことあるごとし
元日の朝晴れて雲なし   啄木

三が日は、晴れて雲なく、びっくりするような好天。はたせるかな。「よいこと」が起こった。

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恒例新春杯で、友人の奥さんが、ぼくら10の眼の玉の前で。ホールワンしたのだ。万歳。キャディさんが飛び上がった。眼が点になったとはこのことだ。
こいつは、春から縁起がいいわい。と、まわりも福をわけてもらい、大たたきの連続だったぼくも、おっ、苦手のウッドが高く遠くへ上がるようになったではないか。ごろばかりだったのに。
なんとなく「よいこと」は、たとえささやかでも、ひそかにたいつにせねば。

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年賀状に、なにかひとことペンで走り書きしてあるのをもらうのは、うれしい。
「お元気ですか」だけでも、差し出したひとの相手を思う気持ちが伝わる。要は思いやりである、印刷は、きれいでも冷たく味気ない。
ぼくは、ないチエをしぼってマウスで描いて、手刷りのつもりで、プリントアウトするのだが、普通の印刷とみわけがつかないらしい。

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手書きで一言添えてある年賀状は、今話題の「ツイッター」のようなところが、うれしい。
たったいま自分の思いを140字以内で発信し、反応が返ってくるミニブログが、「ツイッター」だ。

ぼくは年賀状を出すときに、前にもらったのを見直すけくせがある。一年前につぶやくように年賀状の片隅に書き込まれた短いメッセージを意外に読んでいない。
一年後、年賀状を書く寸前に、差し出す相手とあらためてなつかしそうに対話している自分がいる。
とどいた年賀状にはふつう返事をださないから、一年はすぐに経ってしまう。おめでとうの賀詞に、これから手術をするとみじかく書き添えて入院し、まもなく亡くなった人もいた。ま、この歳になれば、ひとごとではないのだが。

おもしろいことに、ぼくが出す年賀状の相手のほとんどは、八軒家南斉サイトは認知されていない。かつては、賀状にも検索先をのせていたのだが。
しばしば停滞するせいか、なかには、縦組みサイトをやめてしまったと思われて、糸電話の相手がいなくなってさびしいと、年賀状に書いてきた向きも。「すんまへん。まだ生きてますがな。」と、肩で息しながら、返事するのもへんなので、そのままに。

同じ縦組みのサイトを好調にたちあげていた女流推理小説家は、どういうわけかストーカーに悩まされ、閉めてしまったときいた。これは、やりきれない。こまったことだ。

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双方向コミュニケーションは、孤立ケンカイ、わがままでヒト見知りの南斉の手に負えない。
屁をひっておかしくもなし独り者。
アタマ隠して尻隠さずのきらいはあるが、この独りよがりサイトを、細々と続けられるところまで続けようと思う。想定読者は、もうひとりのぼくだけだから。

なぜ時流にさからい、ウエブ日本文の縦組みにこだわるのか。あほと違うか。奇異に感じている向きも多いのは承知している。
アイ ハブ ア ドリーム。一寸のムシにすぎないぼくにも、志はある。日本語ウエブサイトを読みやすい縦組み表記することで、コンテンツの文字量が大量に増え、アーカイブされることで、速読拾い読みできると思うからだ。
日本語文字で構築されるウエブサイトは、全日本規模でみると、欧米のそれと比べて、あまりに貧弱、貧相である。端的にいえば、コンテンツ、なかでも文字量があまりに少ない。
日本文をウエブ上に横組みしたとき、バリアに満ちた読みにくさが、欧米のサイトに比べ、日本の文字コンテンツの充実、質的にも量的にもさまたげていると思うからである。

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郵政公社は、「年賀状はおくりもの」とコマーシャルをだしているが、ちょっと違うな。
時の流れで、こころならずも疎遠になってしまった人にも、年の初めということで、気持ちをさりげなく伝えられる機会。あいさつ、かるい会釈。メールよりは、さらっとした人間関係かな。
いまのようなかたちの年賀状は、明治かららしい。
地域でみな暮らしていて門ごとに年始回りをしていた江戸時代にはなかった風習だろう。いちいち飛脚にたのんでいたら、ばくだいなものいりだ。

たいていの連絡はメールですんでしまうから、書くの もじゃまくさい手紙やはがきの配達は、これからどうなるのだろう。

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亀井大臣は、離島や山間僻地の津々浦々に、安いはがき代、切手代でえっちらおっちら、ユニバーサルサービスさせることの物流経費をどう見積もっているのだろうか。美談づくりの選挙対策は結局高くつく。

投稿者 nansai : 16:16