縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2010年2月25日

二月二十五日
「「政治家」小沢一郎は死んだ。」(立花隆)

風向きがかわり小沢一郎民主党幹事長の去就をめぐってマスコミはさわがしい。すごい見出しを掲げた文芸春秋三月特別号の論文で、立花隆氏は、意表をついて、こう予言する。

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長期未来を考えたら、どうか。
数年以内に、小沢一郎は確実に政治的にゼロの存在になると。
かりに当座をきりぬけたとしても、小沢氏の政治生命が長くは続くはずがない。いま「20歳の若者」から見れば、小沢一郎など過去の遺物にすぎないと。
「田中角栄研究」で、数十年にわたる田中による自民党政治の実態をデータ解析により暴いた立花氏の直感には、凄みが感じられる。

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小沢氏がオヤジと慕い、師と仰ぐのが、田中角栄だ。田中の政治手法を長年にわたり調べつくした立花氏は、こう断言する。
小沢がこれから百万言を弄してどのようなもっともらしいリクツをならべようと、構造的に、田中角栄、金丸信とほとんど変わりない。政治家が影響力を振るうことのできる公共事業の巨大な国家資金の流れに預かる企業から、大っぴらにできない政治献金を、なんらかの別ルートで受け取って懐に入れるという行為は変わらない。

小沢一郎とは、なにものなのか。
日本を動かしている闇将軍と恐れられる小沢氏だが、もちろん会ったこともなく、ぼくは、永田町にも霞ヶ関にもまったく縁遠い『国民』の一人でしかない。
小沢一郎著『小沢主義」という187ページの文庫本を買って読んでみた。ゴーストライターの手によるものだろうが、「志を持て、日本人」と副題がついている。

小泉政治が目の敵だ。市場原理、自由競争で格差を生んだと、しつこく非難している。
同書にいわく、小沢氏自身も深くかかわった戦後政治は、高度成長で得た富を国が再分配し、国中にばらまいた。その結果日本は政治不在、リーダー不在の国家になったと、総括するのだが。

おどろいたことに、公共事業についてふれていない。日本中をコンクリートのダム、空港、道路や線路、ハコ物でうずめつくし、この国に、莫大な負債を残したのは、田中角栄とその一派の「日本列島改造論」だったのに。(おやじとしたう田中は、「反面教師」だという。そういい切っていいのかなあ。)

田中角栄直伝の、数は力、力はカネ。しかも、政治にはカネが必要だ。ゆえに、浄財をもってこれにあてねばならぬとも。
いまも、こう信じて疑わない小沢氏の選挙最優先主義の激烈な副作用を、ぼくは恐れる。
多数決の代償は、ただではすまない。それが健全な民主主義だろうか。
利権をちらつかせ、妥協、懐柔、恫喝は、田中軍団のお家芸だった。勝って一票でも多ければ、すべて丸取り。どんな法案も通せるというのか。ならば、とうてい議論は尽くせない。

数としての小沢チルドレン。政見を説くだけの経験も識見もなく、いわれるままに、ただ辻立ちと握手、ツーショット写真で票をかせぐ。おたまじゃくしのような候補がぞくぞくうまれてくる。

当分は、もう族議員の跋扈した自民党時代には帰れない。
しかし、はたして、小沢一郎のいうとおり、数は力でいいのか。それが自民党政権下で疲弊した日本を救う民主主義だろうか。
かれによれば、民主主義は、どぶ板選挙が原点だという。しかし、都市は避け、地方重視の地を這うような選挙の結果だけが、民意を確かめる民主主義だろうか。広い視野でグローバルに将来を見据える人材の「政府主導」でないと、日本が遅れをとっている21世紀の経済戦争は危うい。

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小沢氏は、選挙の神様らしい。日本の地方の小選挙区での勝ち方を熟知しているのだろう。
おたまじゃくしのような候補者を指導する秘書軍団がなんと20名ちかくいるといわれる。合格率の高い予備校の講師のように。
アメリカの大統領選挙にもプロのエージェントが協力するが、選挙のプロが、国の最高権力をにぎり、国策に口を出すことはない。

投稿者 nansai : 2010年2月25日 15:56