縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2010年3月26日

三月二十六日 
電子本が、本を読まなくなった日本人を変える?

「手本は二宮金次郎」という小学唱歌を覚えている人は少ない。かつては日本中の小学校の校庭に、薪を背負い本を読む金次郎少年の小さな銅像が建てられていた。

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感心な金次郎少年が、薪をせおって読書したかどうかはさだかでないが、話題沸騰の携帯電子読書端末を持たせてやりたかった。論語も、親指で押すだけで本のページがめくれる。
竜馬の活動で沸く維新前夜、緒方洪庵の適塾につどった福沢諭吉、大村益次郎たち塾生は、一冊しかないオランダ語の辞書を争って筆写したそうだ。本は貴重で文化の源泉だった。先人は、こうして、外国語を学び読み解き、先進技術を取り入れて日本は、列強の仲間入りできた。その貴重な書籍が60秒でダウンロードできるようになった。

さて、いよいよ、アメリカで出版界に旋風を巻き起こしている電子本時代がはじまるのだろうか。本や新聞、雑誌が、紙から電子版の時代になるか。


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電子本ならば、分厚い本も60秒でダウンロードでき一冊が1000円程度で買える。読書端末には、なんと数百冊おさまる。
ぼくの部屋の読まない本の山積みツンドク現象は消えるだろう。古雑誌の山も、あとかたなく。

クレジットカード払いで最新刊が入手?でき、すぐ、機内にも無人島にも、どんな場所にも携帯できる。
紙ならかさばって重い本も、内容だけなら0グラムだ。
新しい物好きのぼくも、端末一台申し込んだら、三日で届いた。

将来は、改良されて、コンテンツが増えれば、教科書端末として、小学生から大学生まで教育に大きな影響を与えると予測される。電子黒板につなげると、教室でカラフルな図を大きく映し出すこともできる。動画もネットも融合した内容だから、登校しなくても学べる範囲は無限に広がる。

絵本が、しゃべり動くと、こどもには大好評だろう。

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といっても、まだ英語圏の話。読書端末は、AMAZONのキンドルが先鞭をつけたが。四月にはアップルのアイパッドが発売される。すでに予約が数十万台はいっているとか。
アメリカ出版界は、電子本へ積極的に動くらしい。
読書端末というより、スポーツ誌やファッション誌、漫画雑誌の場合は、まず表紙から迫力ある動画。映画と雑誌の合いの子のような試作が姿を見せ始めているという。

この国では、日本語の厚い壁に守られているとはいえ、日本のジャーナリズム、出版業界にとっては、黒船の襲来であろう。
この手の端末が普及するにつれ、世界どこでも書籍が60秒で入手できる。しかも、ほとんどの情報は、英語中心だ。日本人の苦手な英語でやりとりされる。
国民の英語力が、国の経済競争力にかかわってくるのだ。これは、やばいことになってきた。
例によって、おそまきながら、政府も業界の音頭をとって、電子出版対策に乗り出したという。

端末のネットワークができれば、何よりも英語など外国語の習得に役立つ。
この国の英語教育制度を一から見直し再整備するには、絶好のシステムができるのだ。
ダムから人へ、というのなら、公共投資にもっともふさわしい。外国語の辞書や教程は、国営ネット化したらいい。学習端末があれば、国民は年齢を問わず、だれでも自由に無料で、語学が習得できる。

投稿者 nansai : 15:48

2010年3月11日

三月十一日 オオカミは必ず来るのに。

あの日午後一時三十分、息を止めて、テレビを凝視していた。番組は、大津波警報一色だ。チリ大地震の余波で押し寄せる到達時刻がせまってくる。テレビは、くりかえし、沿岸地域に、避難を呼びかける。

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急に水平線が盛り上がり、3メートルの津波が三陸海岸に押し寄せるかもしれない。1960年の6メートルの津波被害の再来が心配された。
だが、何も起こらなかった。

あとからふりかえれば、気象庁が発表した到達予報時刻は、あまりに正確すぎた。だが、専門家の日食の秒読みの確かさを信じるしろうとのぼくは、そのときは、まったく疑問を持たなかった。

家人は、「そんなのくるはずがない。台風情報もいつもオーバーじゃないの。」と、はなから気象庁を信じようとしなかった。

今日の夕刊によれば、消防庁のまとめで、警告された地域でも、実際に避難した人は、全国平均でたった3、8%にとどまったそうな。専門家は、そんな勝手な予断ににがりきっているらしい。

ことほどさように、予知、警告をくりかえし徹底することは、オオカミ少年のようにまたか、とみられて、なかなかむずかしい。インフルエンザでも、地震でも、警告されても、みな自分の都合のいいように判断しがちなものだ。

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津波も地震もこわいが、予知可能な災害は、借金大国日本経済の崩壊である。
政府債務の対GDP比は、日本はジンバブエに次いで世界2位だそうだ。いまのままだ、とまちがいなくギリシャになるという警報が点滅している。
しかも、民主党内閣は、どうやら経済オンチで、官僚を敵に回し、ブレーンもシンクタンクも支えていないようだ。

テレビも新聞も、識者、専門家も、もう時間がない。あげて、増税は不可避としている。納税者番号導入も急がねばならない。

「日本暴落 恐慌の日」、と、朝日新聞三月七日日曜版は、一面で、SF調でだが、20xx年、財政破綻を予告している。このまま、借金頼みなら、10年で破綻とも。
数ヶ月前から、国債の引き受け先を決める入札が不調におわるようになり、海外の投資家画『日本は投資先として危険』とのレポートが出回っていたというシナリオの想定だ。
オオカミは必ず来る。と、日経で伊藤元重教授が警告する。債務不履行、国債の利回り高騰、高いインフレ率への誘導という事態に陥るのだろうかと。
オオカミ少年のようにみなされた学者の財政危機説は、10年以上になる。いま、主婦向けテレビの番組でも、このままだと、もう十年持たない、と専門家が口をそろえる。

しかし、いま、国を救う増税を持ち出すと、選挙に勝てないと信じられている。危機に眼をそむけて、眼先の選挙に勝つことしか念頭にない小沢政権。かれらにはレーダーがない。長期の見通しをもたず、災厄を想定することから逃げている。

投稿者 nansai : 18:19

2010年3月 3日

二月二十九日 セルフ ポートレートかも。

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お化けのようにみえるが、薔薇は薔薇である。
冬の終わり、わが小庭のすみで、雨風にうたれ寒さに震えながら、けなげにも咲き残っていた。ほとんど枯れてしまった花の真ん中には、まだピンク色が、あざやかとはいえないが、かろうじてみずみずしさをたもっている。桜の花の散り際のいさぎよさとは、また違うところだ。
老残のピンクの花の色気を、しぶといとみるか、おぞましいとみるか。

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なんだか自画像のような気がして、デジカメのシャッターを押した。
ここまでドライフラワーのようになると、春まではむりとしても、まだまだ長持ちしそうだったが、ある日、帰宅すると、寒肥を入れにきた植木屋さんの手でちょん切られていた。

投稿者 nansai : 15:29