縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2010年4月 7日

四月六日 タイタニック号は、いまの日本か?

今から98年前の1912年、四月十五日未明のことだった。
乗員乗客2200人以上を乗せた豪華客船タイタニック号が、処女航海の北大西洋で、深夜、巨大氷山と接触して、二時間後に沈没した。氷の漂う海に投げ出され、1513名の犠牲者が出た。最新鋭の安全対策が凝らされた世界最大の客船が竣工間もなくなぜ沈んだのか。直後の調査の結果では、原因がいろいろ取りざたされたが、うやむやとなった。たとえば、
titanic.JPG
無線係が、他船からの氷山の危険を警告する通信をうるさがって無視したため、船長に報告が届かなかった。
甲板の見張り番は、手違いで、双眼鏡をもっていなかった。
就航直前に、救命ボートが決められた数の半数16隻に減らしたとも。船主の意向だった。救命ボートの数が足りず、船上に取り残された乗客乗組員は船と運命をともにした。
どのひとつをとっても、危険は未然に回避されたはずだった。

ぼくの目には、108年前の豪華客船タイタニック号は、今の日本の姿に映る。
月のない星空、船室にはこうこうとあかりをつけ、氷山の存在に気づかず暗夜を航海するタイタニック号とダブって見えるのだ。巨大客船の船名は、ハトヤマ丸と読める。

巨大氷山に、10年以内に衝突するという警告は、かまびすしい。ぼくらには、まだみえない氷山とは、国債の破綻だ。
新聞の社説、専門誌、有識者の論説は、こぞって、日本国債の破綻を警告している。日本人だけが危機感を持っていないとする論者もいる。いまにギリシャと同じ状況になるとも。
とすれば、まさに一億人以上の乗客を乗せたタイタニック号状態ではないのか。

船のブリッジは、別の党から乱入した操舵手にハイジャックされ、郵政改革は逆走を始めた。
今の政府が、眼先の票をかせぐために、このままばらまき政策を続け、足りない分を国債発行して穴埋めすて、はたして大丈夫なのだろうか。
消費税は、解決策のひとつである。目前の選挙に、票の減る消費税に触れないまま、選挙に臨みたいというのも、選挙民からは、どうせ理解は得られまいとする国民をなめた話ではある。理論上よくわからないながらも、次々に発せられる専門家の国債の破綻予測に、国民は心配している。

太平洋戦争直前の昭和16年を思い出してほしい。
ぼくの眼には、いまの鳩山内閣と、太平洋戦争に、なすすべなく、ずるずると、ひきこまれていった近衛内閣がだぶって見える。
titanic2.JPG
当時の日米交渉の焦点は、中国からの日本軍の撤退だった。陸軍がつっぱねた。平和を願いつつも厳しい決断を先延ばしせざるをえなかった近衛首相は、名家出の育ちの良いお公家さんだった。
土壇場で近衛が放り出した政権を受け継いだ東条内閣が、開戦した。
あの戦争で日本は、国中が焼け野が原となり、外地資産のすべてを失い、三百万人以上の命を失った。戦争をやめることも、ままならぬ状況が、昭和二十年まで続いた。
このように、百年の大計を持たぬ為政者の責任は重い。
いっぽうで、国民の責任も重い。
日本国民は、為政者を選ぶ選挙での投票率があまりに低すぎる。無責任だと、北欧の女子留学生がテレビ討論会で力説していた。
いまは、ぼくらにとって、まだ正しい為政者が選べる可能性は、なくはない。

地を這うような田中角栄型の「眼先選挙」主義にだまされてはいけないと思う。地方では、無理だろうが。

小泉と自民党憎し、という政策抜きの私怨で、政権を運用してよいものか。
地方と組織の票田へのみ眼を向ける選挙戦術で、与党は大勝するかもしれないが、世界を見据えた将来への政策には背を向けている。
おそろしいスピードで世界が変化している。
借金大国日本が生き残るためには、市場原理を無視した成長戦略などあるはずがないのに。

投稿者 nansai : 2010年4月 7日 13:50