縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2010年11月 2日

十一月二日 ドリトル先生を覚えていますか?

最近、むかしこどもだった大人たちが「ドリトル先生」を懐かしがっているらしい。

sensei?.JPG

1920年からはじまったものがたりだが、ドリトル先生の名をきくだけで懐かしさがこみあげてくる人も多いだろうと、「福岡伸一と歩く ドリトル先生のイギリス」(新潮社)。

あひるやさるなどの動物語を自在に操り動物たちとコミュニケーションできるこころ優しい太っちょの医者ドリトル先生に、子供のぼくは夢中になった。
戦前ラジオもテレビも普及していない頃、薄くなった少年倶楽部に連載されていたが、戦争が始まると、とぎれとぎれにしか読めなかった。
たしか「ドリトル先生アフリカゆき」というシリーズだった。次の旅行先を地図帳をでたらめに開いて鉛筆をおとして決める場面は忘れられない。
こどものぼくには、井伏鱒二の名訳よりも、ごひいきの河目悌二のユーモラスな挿絵が魅力だった。

ドリトル先生シリーズは、戦後、立派なハードカバーで出版されたが、原作者ロフティングの絵が定番なのだが、ぼくはなじめず、少年倶楽部の河目悌二の絵が懐かしい。大出版社版が高価だったこともあって、ドリトル先生には、その後ごぶさたしてしまった。
時代の変化で、先生も、物語の中の黒人への「差別的表現」がうとまれて絶版になったりしたそうな。「ちびくろサンボ」と同じ運命をたどった。

最近のドリトル先生の紹介は、ぼくよりもはるかに若い研究者が、少年期に、全冊をすみずみまで何度も夢中になって読了したらしい。
戦争が終わり、日本は豊かな時代になっていた。うらやましく思う。

sensei.JPG

ところが時代がさらにかわって、読書端末キンドルなどで、ワイヤレスであっという間に、全文がダウンロードできるようになった。ロフティングの英語も、短く、子供向きのやさしい語り口なので、ぼくにも楽しめる。アマゾンなら、キンドル版700円。すでに著作権がきれているから、無料でもダウンロードできる。便利な時代になったものだ。
満員電車の車内。一心不乱ケータイに眼を落とす若者たちを尻目に、優先座席に腰をおろして(運よく座れたらのはなしだが)おもむろに読書端末を取り出して、「ドリトル先生」を読む。便利ではあるが、これもちょっとねえ。

投稿者 nansai : 2010年11月 2日 15:17