縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2011年7月26日

七月二十六日 なぜかたづかないか、ガレキ砂漠。

四ヶ月たっても、テレビの画面に映し出される被災地の瓦礫の山がかたづかない。報道によると、まだ三割しかかたづいていないという。瓦礫からの猛烈な悪臭は、TVでは伝わらない。三月十一日以前に、そこで暮らしをいとなんでいた人々を思えば、胸が締め付けられる光景だ。暗然とする。

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なぜガレキ処理は、はかどらないのか。
はばむ複雑なハードルがあるのか、もとより現場を知らない域外のしろうとに、よい知恵のあろうはずがない。無力なぼくは、イラストで、力自慢のぞうさんを出動させた。Tシャツのデザインにしかならないが。

人手がたりない。ボランティアが足らないから、瓦礫が除去できないという一部報道も見受けられた。
減ってきた学生ボランティアに、単位を与えてきてもらうというのもある。
瓦礫を処理できない原因は、土木機械が圧倒的に不足しているからだ、という投書があった。なぜ、不足しているか。不況で経営の苦しい中小の建設会社が、土木機械を外国に売払ってしまい廃業したせいで、同時に、地元に合った土木技術も失われたからだという意見だ。

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さいきん、避難所から自動車学校に通い、大型特殊自動車の免許をとり、ガレキを除去するショベルカーやロードローラーを運転する技術を習得する人が増えているそうだ。
漁をあきらめた元漁師がこのままでは家族を養えないから、土木機械の運転で生計をたてると決意を語っているのをニュースでみた。応援が必要だろう。

ほどこしではなく、みな自力で稼ぐことをのぞんでいる。とりあえず地元で稼げる仕事が必要だ。
ガレキ処理は、地元の雇用に大きく貢献するが、手と重機がたりない。そのためにも、ひろく民間の企業と資本が馳せ参じる態勢ができているのだろうか。
ファミリーマートは、買い物に不便な仮設住宅に小さな店舗を併設した。従業員は避難地区から採用、ユニット工法の仮設店舗は二週間で立ち上げた。もちは、もちやの力があるのだ。

イラストのゾウさんたちも、特殊自動車の免許をとって参加させることに。ぼくの知人のグループも、岩手で雇用促進の一助として、カレーの屋台販売ノウハウを支援している。

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不幸な人々を支えたい、分かち与えようとするボランティアたちの善意は尊い。しかし、チカラ仕事の瓦礫処理は、膨大で手に余る。無給の善意の労働を、いつまでも、ボランティアたちに期待するのは無理なことではないか。

先の大戦で破れ、焼けだされ、復員、引き揚げた日本人が、焼け跡からたちあがれたのは、ばらばらの自助努力であると往時を知るひとたちはいう。戦前の古い体制がひっくり返ったのは大きい。
雄々しさといったかっこいいものではなく、食うために闇もやり、遮二無二、ベンチャービジネスが立ち上がった。

被災地の復活は、これからの時の流れをどう読んで動くか、市場の需要動向にどう乗るかにかかる。それも、グローバルに、だ。
市場メカニズムにさからう無理なプランは、ついえてしまう。国のほどこしを頼りにすると、目算はづれで、地域経営が破綻してしまう夕張市などの例が山ほどある。

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復興の主役は、若い世代だろう。競争にひるまず、資本を集め、挑戦する三十代前後の血気盛んな若い起業家たちが、望みの綱である。
将来を担えない年配の既得権者たちに、意見をきくのはいいが、まかせられない。農地、漁業権など、じぶんたちの既得権をさまざまな理由をつけて守ろうとするからだ。とおい五十年先の地域ビジョンよりも。

そこに、口当たりの良い公約をぶらさげて、国益よりも、目先の一票がほしい政治家がつけこんでくる。増税など口が裂けても持ち出さない。落選につながると信じているからだ。

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ふるさと創出は、地元には耳ざわりがいい掛け声だ。しかし、投資がペイするか、持続できるかを、市場メカニズムが判定する。
企業なら、その流れを読んで行動する。まちがえたら、卽、撤退だ。さもないと存続が危ぶまれるからだ。さきざき収支あいつぐわない投資は、どんなロマンチックなプランでも破綻し、後世というより他地域の人たちの税負担となる。

これから「ビジョン」満載の公共事業案が、つぎつぎに登場するだろう。
往年の「列島改造論」のような妖怪が徘徊するかも。
思い起こせば、戦後、食料不足解消のため、恵まれた環境を破壊して、日本列島でいくたの干拓工事が行われた。あれはなんだったのか。秋田県の八郎潟などは、埋立てなければ貴重な観光資源になったはずである。それがいま耕作放棄地は、日本全体で埼玉県なみの広大な面積だ。

人口が減り、高齢者がふえて、若者が去るのは、この地方だけではない。この地域の農業、漁業、水産加工は、かわりの労働力を外国人に頼らざるを得ない。
そうなると、別の問題が浮上してくる。
三〇年先、百年さきの東北のすがたが虚心に読めるタイムマシーンがほしい。

「賢く縮む」。スマートグロース。成長は大きくなることではないと、人口が減り高齢化のすすむ先進諸国では、縮む都市の研究が進められているという。
従来の「活性化」モデルをなぞると、カラ元気に終わり実情にあわなくなるのではないか。二一世紀の日本も、東北も、賢く縮む戦略が必要になるだろう。


投稿者 nansai : 2011年7月26日 11:53