縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2012年4月 2日

三月三十一日
財政危機のイタリアでは、学者首相が緊急登板。
なんと閣内には、政治家がひとりもいないそうだ。

どんなに国が莫大な借金に押しつぶされそうになっていようが、痛みを強いる緊縮策を打ち出そうものなら、すぐデモや暴動の起こるお国柄である。
ここは、各政党も無用の争いをやめ、学者首相の知見に従おうとした。

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イタリアのあたらしい学究派の首相が来日した。
あわや債務不履行か、とまで心配された財政危機に急遽登板して、冷静沈着な対応で国民の信認をとりつけ奮闘中のモンティ首相である。タイム誌にも取り上げられ、オバマ大統領も絶賛した。
NHKのインタビューに応じ、政治について語ったことばが、日本人の耳に痛く、国情は違うにしても、深く、うなづかされたことだった。
かれは、学者で、どの政党にも属していない。経済商業専門のボッコーニ大の学長も務めた人物。
だから、有権者のしがらみに縛られず、きびしくても、正しい政策が打ち出せたと、モンティ首相は語った。たいへんだったろう。いまも労働問題は火種がくすぶっているという。
「たとえ痛みを伴う政策でも、将来のために何が必要か具体的に説明するのが、議会や国民の支持につながる」と述べた。

いまイタリアの内閣には、首相をふくめて政治家がひとりもいないそうだ。有識者内閣である。財政破綻にあえぐイタリアは、万策尽きて政治家を除く有識者で内閣を構成した。常識を超えた起死回生の策だ。
首相自ら来春までと人気を区切った暫定政権だから、難題を飛び越えられたといわれている。短期間だから、政党も受け入れた。


一方、日本の国会議員は、政局に血道をあげている。
しがらみにがんじがらめにされた日本の政党は、次の選挙だけが目標で、国全体とか、国の将来を考える政治家はいない。イタリーと違い、まだせっぱつまっていないとの甘い見通しなのか。
選挙は、政策よりも、とにかく数だ、という、田中角栄型政治家があとをたたない。
党内の融和が、国益に優先するのも不思議な現象だ。公益企業や組合など特定の既得権益をまもるのに必死で、国の将来をかえりみるゆとりがない。候補者の公約は、大半は絵空ごとで終わってしまう。

有権者の半分近くは棄権する。政党は、地元や組合、企業の既得権にすり寄り、ばら撒きを公約し、票をかき集めた。口癖のように国民のしあわせとか民意を連発するが、ひたすら、目先の一票しか頭にない政治家たち。
あげくのはて、イタリーもびっくりの膨大な国の負債が積み上がって、年金も農業も原子力発電も、こうして惨憺たる現在の体たらくがある。

学者でクールなモンティ首相は強調した。
目先の人気や政治的なしがらみにとらわれなかったので、財政支出の削減や年金などの構造改革が可能になったと。
就任前と比べて状況は大幅に改善されたという。財政赤字は来年までにゼロにすると言い切る。労働法改正では組合が反発しているようだが、それでも支持率が下がっても55%だからたいしたものだ。

しがらみに縛られた政治家を排除しなければ、正しい政策が日の目を見なかったイタリアの暫定内閣。足の引っ張り合いに明け暮れる日本の政治にも何かを教えてくれる。

投稿者 nansai : 2012年4月 2日 11:28