縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2012年5月11日

五月十一日 電子本が待ち遠しい。ぼくは、黒船大歓迎。

電子本に興味しんしんである。
無人島に一冊だけ本を持ってゆくとすれば、あなたは何を選ぶか。ぼくにはそんな一冊は思い浮かばないが、

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かさばらず重量ゼロの電子本なら、読書端末に1500冊はいるらしい。電池切れが心配だから、太陽光の発電受光板が必要だろうが。

わが国の出版界にも、電子書籍という黒船がやってきた。読書端末「キンドル」を引っ提げて、巨大ネット書店アマゾンの襲来だ。年末に発表する、楽しみにしてほしいと、来日したベゾス社長が言い切った。
しかし、アルファベット26文字で、本がつくられている電子書籍先進国と違って、この国は、縦組み、漢字かな混じりで文章が構成されている。
キンドルは、日本語とどう取り組むのか。普通のおばさんにやさしく使える読書端末は、どう落ち着くのか。デビューが待ち遠しい。
ただでさえ読書人口が減っているから、及び腰だった出版社も新聞社も、黒船「アマゾン」の本土上陸に対応せざるを得なくなった。しかし、読書評論家でもろ手をあげて賛成という向きは、少数派だろう。

初物食いのぼくは、物は試し、キンドルとソニーの端末を購入。
まず、まんがが人気らしいが、ぼくはパス。
文章を読むだけなら、ソニーリーダーは、まずまずか。文字の大きさが視力に応じて調節できるのは、高齢者にはありがたい。しかし、紙の本にくらべて、重さゼロはいいが、端末自体の重さは苦になる。購入できる本の数があまりに少ないのにがっかり。

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ページ単位で区切って読むことになるので、ゆっくりと玩味しつつ読みたい文章には適している。気に入った随筆や長編の数ページを、端末の画面で400文字くらいの文章をゆっくりよく噛んで読むのも、せっかちで飛ばし読みするぼくには、新鮮な感じだ。
内容の軽い読み物に向いている。筋を追いながらの飛ばし読みは、親指をすべらせれば、一枚づつめくるよりも、らく。アマゾンは、「シングルズ」という読み捨て型の電子読み物を1ドルくらいで発売し始めた。ニューヨークの地下鉄でおばさんたちがよみふけっているのは、ハーレクイーンかこの手の読み物らしい。

アマゾンのキンドルは、いまは英語版だが、端末価格が安い。IPADと同サイズで価格半分の、「キンドルファイヤー」が注目だ。アマゾンは、端末機器で利益を上げようとせず、電子書籍のダウンロードでもうける狙いは、壮大な仕組みだ。

電子本読者は、巨大書店の在庫のなかから、電子本価格のキンドル版を選ぶことになる。
アマゾンは、店頭でなくネットカタログで一冊ごとに詳しい説明を読みながら本を選ぶ。買う決心すれば、ワンクリックで、一冊の本の内容が、瞬時に、読書端末にもパソコンにも、ダウンロードされる。便利というより、快感である。書店の書棚をきょろきょろ探しまわるぼくのタイプにとっては、本の連鎖買いは、失敗も多いが、楽しみなのだ。
ソニーの「リード」は、本選びの説明が不足していて、この楽しみの手続きが複雑すぎる。
アマゾンとの決定的な差である。

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読書は、プロとアマに分かれる。万巻の書を集め資料を読み解くことで生計を立てているプロは、難解な書籍の内容を消化する鋭い歯と頑丈なあごを備えている。

電子本の端末利用は、あごも歯もまだ強くないアマチュアと学生、こどもに最適だ。教育への貢献は計り知れない。ぼくは、新書版、文庫版の「とれとれで廉価」電子版を切望している。朝日新聞のAスタンドやアマゾンの「シングルズ」はいい試みだ。ベストセラーが続出するだろう。

これからは、読書端末に応じた本づくり、教科書作りが、まったく新しい発想で開発されねばなるまい。
電子書籍は、文章だけでなく、動画、図表、音声、辞書を組み入れ、次のテーマに連鎖するリンクを縦横無尽にはりめぐらせる編集になるだろう。電子教科書の開発で、独習型の教育システムで一国の知識レベルが上がる。コンクリートの箱やダムよりも有効だ。国家百年の計だ。と、夢はふくらむ。

投稿者 nansai : 2012年5月11日 13:19