縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2012年5月14日

五月十三日  ただになつかし、きょうは母の日。

八十五の翁となれど 母おもへば
ただになつかし きょうは母の日

歌人窪田空穂が詠んだ一首。いくつになっても子は親の子と、けさの「天声人語」が紹介した。

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「ただになつかし」か。こころにしみる。そうではあるが、「母をおもう」には、ぼくには、きれいさっぱり手がかりの記憶がまるで欠落している、顔も声もだ。昭和前期に若くして他界したから、あまりに幼すぎてぼくの記憶のフィルムが感光していなかった。

「年齢の割には、立派な歯が残っていますね。お手入れがんばってください。」先日思いがけず、歯医者さんではげまされた。
「丈夫な歯は、母親のを受け継いでいるのでしょうか。ろくに手入れしていないのに。」ときいてみたら、かならずしもそうではないとのクールな答えだった。
でも、傘寿をむかえた、ぼくの丈夫な歯は、母ゆずり、と思いたい。長持ちする丈夫な歯をありがとう。母の記憶がまるでないぼくは、歯に限らず母とは遺伝子でつながっているのだ、と思うことにしてきた。そう、いくつになっても、ぼく自体が、母ゆずりの存在なのだと。おかげさまで。

「母の日」も、母思う証しのカーネーションのプレゼントも、母の時代にはなかったなあ。合掌。

投稿者 nansai : 2012年5月14日 14:14