縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2012年12月26日

十二月二十六日
雨中の青年のとっさの善意、ただただ、ありがたく。

kasa 1.JPG

師走も押し詰まった先週金曜日の夕方、暗くなってから雨が降り出した。あいにく傘はない。会合へ急ぐぼくは、来ないタクシーを探して、雨の中、交差点で、両手に荷物をもったまま、あせってうろうろしていた。老いたぬれねずみにみえたのか、突然、一人の青年が、これどうぞと、折り畳みの傘をさしだしてくれた。
ビニール傘ではない黒い布製の折り畳み傘だ。
驚いて「いいんですか」ときいたのだが、青年は、そのまま立ち去ってしまった。一瞬のことで、暗くて顔もよくみえない。
雨の中助かりました。ありがとう。
来たタクシーに飛び乗ってそのままになっている。
傘には、MICHIKO LONDONとある。お礼を言いたいが、傘を返そうにも、だれかもわからない。
惻隠の情というか。平成の世に、あんな青年もいるのだなあ。申し訳ないが、老いては、善意にあまえることにした。

投稿者 nansai : 2012年12月26日 11:32