縦書きブログ「八軒家南斉」

WEB1グランプリ 準グランプリ受賞

2013年4月22日

四月二十二日
造幣局の恒例「桜の通り抜け」が、無事終わった。

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世間の花見の季節がおわったころに、ふだんひっそりとしている独立行政法人造幣局の構内に、桜の道がえんえんとつづいている。粋な風景だ。
遅さくら352本のアーケードの下を、途切れることなく人の川が流れる。老若男女みな笑顔、少々騒がしいが、壮観だ。
天満橋をわたって造幣局の構内を通りぬけた善男善女の大行列は、今年も、のべ100万人を越えたのでなかろうか。明治16年にはじまって、太平洋戦争をのぞき、今年で127回目というから、戦災でなにもかも焼失した大阪に残る貴重な有形文化財だ。
たった一週間の公開だが、世界でもまれな八重桜の見本市だ。南門から北門までの約150メートルに、八重桜を中心とした130種が咲き誇る。
紅手毬、大手毬、子手毬、養老桜などは、よそではみられない珍種だそうな。人ごみに流されつつ、ひたすらカメラをのぞいているぼくには、見分けがつかないが。

独立行政法人が、花見を演出してくれるとは稀有でありがたいが、構内の桜を明治16年当時の局長遠藤僅助の発案で、市民に公開された。
以後、100年以上も長きにわたって、桜のアーケードを守り続けた先人の桜守にお礼をいいた。大正期の重工業発展時代、ばい煙により桜が枯死したり、戦時中の空襲ではかなりの被害をこうむったそうだ。桜受難のあいだ、造幣局の維持管理の努力には、あっぱれと誉めたたえたい。

戦後、補助金つきの地域振興プランが、死屍るいるいのさんたんたる結果しか残していない。造幣局の130年の桜という文化を保護し後世に引き継ごうとする姿勢を高く評価したい。おおきに。おおきに。
なにもかも官から民への時代だが、民間の企業が落ち目になれば、造幣局の桜の木は切り倒されていたかもしれない。

ぼくは、頼まれたわけではないが、英文のポスターをデザインしてみた。いまや大阪の名物キャラクターとなった「ビリケン」が、通り抜けの夜桜見物に空中浮揚とござい。
「通り抜け」、これを英語でなんというか。和英辞典にはのっていない。パスウエイか、アーケードか。

投稿者 nansai : 2013年4月22日 14:17